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小説家・古川日出男、北京で「アジア文学」を語る(3)

CRIPublished: 2019-04-09 20:12:00
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でも、ほかの地域の人は、まだ別の補い方をするんです。こうやって、アジア全体で皆が勝手に誰かと補い合うように、僕も紫式部のやったように、共作するようにやっていけば、もうすでに僕らは国家という縛りを越えて、大きなところに読者を持っていきたいと思っている人たちは、アジア文学を始めていただけで、気づいていなかっただけなんじゃないかと。

僕は今日ここで、こうやって話すことによって、もしかしたら、「あ、なんだ、アジア文学がある!」、ここに来た人の何分かの一が気づいてくれて、そんなふうに本を読んでくれて、その本を読んでるという行動がほかの作家たちに刺激を与えて、本当に、本当にすぐに三年、四年でアジア文学とってジャンルはできちゃうんじゃないかなという風に思っています。それはいつも、いつも例えば、日本だって、中国だって、国境があって、いろんな争いがあったり、歴史の問題もあったりする、あるいはほかの国の間にいつも、いつもある。

そういう境界線をぽっと越えることじゃないか。自分たちが「これがいいこと」と思っているが、「こっちもいいよ、あっちもいいよ。だから、お前間違いだ(というのではなく)」、お互いに喧嘩している時に、「同じもの見ているんじゃん」。「いや、それ、仏様の顔だよ」、「いや、それ、漢字だよ」と思ったら、よくなるんじゃないか。そんな風に、もし皆さんも日本の文学を、これから日本語で或いは翻訳されたもので読んでいく機会があったら、ここにもアジア文学があるかもしれないと思って、また自分たちの国の、中国の文学を読む時に、そういうふうに思ってくれたらうれしいと思います。

ありがとうございました。

【プロフィール】

古川日出男(ふるかわひでお)さん

小説家。

1966年福島県生まれ。早稲田大学文学部中退。

1998年、長篇小説『13』でデビュー。第4作となる『アラビアの夜の種族』(2001年)で日本推理作家協会賞と日本SF大賞をダブル受賞。『LOVE』(2005年)で三島由紀夫賞、『女たち三百人の裏切りの書』(2015年)で野間文芸新人賞と読売文学賞をダブル受賞。2016年刊行の池澤夏樹(いけざわなつき)=個人編集「日本文学全集」第9巻『平家物語』の現代語全訳を手がけた。その他の代表作に『サウンドトラック』(2003年:仏・伊語に翻訳)、『ベルカ、吠えないのか?』(2005年:英・仏・伊・韓・露語に翻訳)、『聖家族』(2008年)、『馬たちよ、それでも光は無垢で』(2011年:仏・英・アルバニア語に翻訳)、『南無ロックンロール二十一部経』(2013年)などがある。

文学の音声化としての朗読活動も行なっており、2007年に文芸誌「新潮」で朗読CDを、2010年には文芸誌「早稲田文学」で朗読DVD『聖家族 voice edition』を発表。宮沢賢治の詩を朗読したCDブック『春の先の春へ震災への鎮魂歌』(2012年)も刊行している。

また他ジャンルの表現者とのコラボレーションも多く、これまでに音楽家、美術家、漫画家、舞踊家等との共演・共作を多数行なっているほか、2014年には蜷川幸雄(にながわゆきお)演出の舞台のために戯曲『冬眠する熊に添い寝してごらん』を書き下ろした。

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