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クブチ砂漠を行く~循環型砂漠対策を目指す太陽光発電事業

CRIPublished: 2021-07-14 18:10:00
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まず、発電所の用地はもともとは、地元の農牧民たちが請け負っていた砂地です。事業者側が借地として使用料を払い、その代金が農牧民たちの安定した所得になっています。

次に、工事中、貧困扶助プロジェクトとして、800世帯余りの農家を対象に1000人分あまりの雇用を創出し、一人当たり1万元の所得増をもたらしました。安定運営に入った今も、800世帯中、所得がとりわけ低い「貧困家庭」57世帯に対する支援を続けています。具体的には、太陽光パネルの洗浄業務の依頼です。1世帯当たり4~8メガワット分のパネルを請け負わせ、1メガワットにつき1500元から2000元の清掃代金を支払っています。洗浄は年に4回行われており、これにより、1世帯あたりざっくり3.2万元の収入が得られるということです。

◆クブチから他の砂漠への広がりで排出削減への貢献も期待

ところで、広大な発電所ではありますが、管理者はわずか23人。案内してくれたマスターコントロール室には、壁一面の大画面に、20台ほどのパソコンが設置されており、自社スタッフは2名体制で対応しているそうです。190万枚あまりのパネルは1枚ずつコンピューターシステムでリアルタイムでチェックでき、要注意事態発生時はアラームが鳴り、すぐに故障のパネルを特定して駆けつけ、保守を始めることができるそうです。

マスターコントロール室の様子

記者が取材に行く少し前に、強風で追尾式のパネルに損傷が起きたそうですが、屈所長は自然災害に備えて、保険には加入していると紹介してくれました。

ここはこの年末までに完工する予定。フル稼働となれば、毎年44万トンの標準石炭、116.1万トンのCO2、3.9万トンのSO2、約1.9万トンのNOX、34.7万トンの粉じんの排出を抑えることができると見積もられています。

立案の段階から発電と生態環境の修復、地域住民の所得増などの総合的効果を目指してきたこの発電所は、稼働開始から約5年が経過し、発電量が年を追うごとに向上し、去年までに12.5億キロワットアワーに達し、これまでの発電量の合計はすでに30億キロワットアワーに上りました。

「ここはもともとは草木も生えなかった砂漠でしたが、今は緑が増え、野兎、キジ、狐、アナグマなどの野生動物もよく見かけるようになりました」

屈玉文所長

屈所長は微笑みながらこう話してくれました。8年にわたった取り組みにより、発電量の向上だけでなく、生態系の改善でも大きな効果が確認できたといいます。

クブチ砂漠発のこの複合型の産業モデルはコピー可能なモデルとされ、今後は内蒙古のウランプハ(烏蘭布和)砂漠、ムウス(毛烏素)砂漠、甘粛省武威市のテンゲル(騰格里)砂漠などでもプロジェクトが整備される動きが進んでいます。

クブチ砂漠で起きている出来事は本当の一例に過ぎません。中国では「3060目標」として知られる、2030年までの温室効果ガス排出量のピークアウト、そして、2060年までに排出量を実質ゼロとする「カーボンニュートラル」の実現に向けて、民間企業でも着実な取組みを始めていると言えます。

【リンク】

クブチ砂漠を行く①~北京からオルドス・杭錦旗までの風景

クブチ砂漠を行く②~「低侵襲手術」が砂漠緑化に貢献

クブチ砂漠を行く③洪水対策と生態修復の両立で成果あげる=クブチ砂漠

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