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<コロナ禍の戦後75周年、私が今思っていること>その5~神奈川県・久保孝雄さん

CRIPublished: 2020-08-12 01:15:00
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日本国民は占領初期に制定された主権在民、基本的人権、平和主義(武力放棄、戦争放棄)を柱とする新憲法の下で新しい歩みを始めた。戦争犠牲者310万人、生産力は戦前の3分の1まで低下、沖縄の壊滅、広島、長崎の原爆、東京大空襲はじめ主要都市が廃虚となるなど、壊滅的被害を受けたが、1億国民の勤勉と英知、さらに朝鮮戦争を機に発生した「朝鮮特需」を追い風に急速な経済復興を遂げ、18年間(1955〜73)の高度経済成長を経て世界第2、アジア第1の経済大国を創り上げた。

しかし、講和条約(1952)と共に締結された「日米安全保障条約」により、日本の政治、外交は米国の強い影響下に置かれることになった。とりわけ軍事面では全国に米軍基地が配置され、違憲論争までありながら復活、強化された自衛隊は、米国の軍事戦略の一環に組み込まれ、世界第7位(2019)の規模にまで強化されている。

日本は1970〜80年にかけて世界最強の工業国家を創り上げ、『ジャパン・アズ・ナンバーワン』(ハーバード大学エズラ・ボーゲル著1979)とまで称えられたが、ポスト工業化時代=知識・情報化時代への転換に立ち遅れ、91年のバブル崩壊と共に低成長時代に移行し、「失われた20年」といわれるような長期低迷に陥り、国内総生産(GDP)でも2010年には中国に抜かれて世界第3位に後退、一人当たりGDPでもかつての世界第2位(1988)から26位(2018)に低下している。

日本は今重大な岐路に立っている。「日米同盟」の名の下に米国への従属を深め、衰退しつつある米国と共に孤立と衰退の道を歩むのか、それとも、対米自立を進め、勃興する中国、アジアと共に多極化する世界で不可欠の存在となる道を目指すのかかが問われている。21世紀のアジアと世界で日本が生きる道は後者しかない。

そのため、外交・安保面では平和外交、専守防衛に徹し、中国、韓国、朝鮮、ASEAN(東南アジア諸国連合)と連携しつつ、「アジア集団安全保障」体制を目指すべきである。経済面では第4次産業革命や少子高齢化対策、格差是正に果敢に取り組み、衰退社会から成熟社会への転換を進めるとともに、中、韓、朝、ASEANと連携しつつ「アジア経済共同体」の構築を目指すべきである。それは同時に「一帯一路」事業への参画でもある。

2、新中国誕生、苦難30年、改革開放、第2大国、一帯一路・運命共同体

第2の体験は、世界史的意義をもつ中華人民共和国の誕生と発展である。私は敗戦を迎えるまでは典型的な軍国少年で、兄が中国で戦死したこともあり中国憎しで、凝り固まっていた。しかし、敗戦で虚脱状態のとき、生活物資を求めて満員列車のデッキに3時間もしがみ付きながら上京し、東京の闇市を彷徨ったが、この時ガード下の小さな本屋で買った1冊の本-エドガー・スノー著『中国の赤い星』が私の運命を変えた。

帰宅して読み始めたが止められず、徹夜で読み上げた私は大きな感動と共に一夜で翻身した。反中国の教育で育った私はこの本を読んで「アジアと世界に平和と正義をもたらすのは、毛沢東や劉少奇、周恩来ら<中国の赤い星>に率いられた中国しかない」との考えに転換したのだ。私の中国観、世界観、ひいては人生観まで変えたこの一冊の本に私は今も感謝している。

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