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お腹を抱えて笑えることを一緒に〜90歳の黒柳徹子さんが中国で語ったこと〜

CRIPublished: 2024-06-06 21:29:49
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■トットちゃん人気の背景 「中国の方は『おもしろいこと好き』」

――『窓ぎわのトットちゃん』の世界での発行部数は2500万部に上り、ギネス記録に認定されました。徹子さんの人生にこの本はどのような意義がありましたか?

『窓ぎわのトットちゃん』がベストセラーになったおかげで、実現したことがいくつかあります。一つは、「トットちゃん」が英訳されて、それを読んだユニセフの方が、「こんなに子どものことがわかっている人なら」と、私をユニセフの親善大使に任命してくださったことです。子ども好きの私にとっては、望外の喜びでした。それから、トットちゃんの印税で、手話で狂言を上演する「日本ろう者劇団」を設立することもできました。小林先生の「みんないっしょにやるんだよ」という精神を、本だけでなく、別の形でも表現することができました。

――中国で1700万部のロングセラーとなったことを聞いた時の気持ちは?

とってもうれしかったです。まず2017年に1000万部を超えたときにニュースになり、「中国では、あの『ハリー・ポッター』よりもずっと人気があります」と伺って、あんな世界的なファンタジーと比べたらうんと地味な、トットちゃんのありのままの体験を、中国の子どもたちが身近に感じてくださっていることに、とても感激しました。そして同時に、中国人に対して同じアジア人としての親しみを覚えました。

今回の訪中でも、本当にみなさんが続編を楽しみにしてくださって、本を隅々まで読み込んでくださって、いろんな感想を伺えたことが、何より嬉しかったです。

――『窓ぎわのトットちゃん』の中国での人気の理由はどこにあるとお考えですか?

「これを書くことで、こんな影響を与えられたらいいな」とか、そういう難しいことを考えてないからじゃないかな、と思います。『窓ぎわのトットちゃん』もそうですが、『続 窓ぎわのトットちゃん』にも、私がおもしろいと思うエピソードを書き並べました。それが、中国の方にも「おもしろい」と思ってもらえたみたいです。

中国のみなさんを見ていると、「自分と似ているなあ」と思うことがいくつかあります。一つは、好奇心の強さです。かつて、中国訪問で「草原情歌」を中国語で歌って、間奏で京劇の真似をしたときには、みなさんお腹を抱えて笑ってくださって。人生ではじめて、笑って椅子から転げ落ちる人を見ました!なので、中国の方というと、とくに「おもしろいこと好き」という印象があります。共感したり、笑いあったりできるということは、気持ちが通じあっていることの表れですよね。これからも、お腹を抱えて笑えるようなことを、いっしょにやっていけたらいいですね。

■新刊が「平和について考えるきっかけになれれば嬉しい」

――『続 窓際のトットちゃん』で、お父様がシベリア抑留から帰って来た時のくだりは、心に沁みました。誰かを憎みながら人生を生きることのないようにするには、何が大事だとお考えですか。また、すでに悲しい過去を強いられている人たちへの言葉は?

憎しみを抱えたまま人生を生きるのは、さぞかし辛いことだと想像します。憎しみを抱えないまでも、子どもは何か悲しいことがあると、誰かのせいにしないで「自分が悪かった」と思って、苦しむ傾向にあるようです。私が「嫌なことは忘れて、次に進みましょう」なんて言っても、説得力がないかもしれません。かける言葉が見つからないから、私はこうやって自分のことを本に書いているのかもしれません。

子どもたちが私の本を読んで、ほんの少しでも「あ、一緒だ」と思える箇所があったら、心が軽くなるかもしれないので。私が、「きみは、本当は、いい子なんだよ」と言ってもらったように、読んだ人の心に響く言葉が、一つでもあったらいいなと思うばかりです。

――中国の読者に作品をどのように受け止めてほしいですか?

私はもともと、あまり自分の本を「こう読んでほしい」と思わないほうなんですが、私が悩んだり焦ったりしながら頑張ったことに共感してくれたのであれば、とてもうれしく思います。

中国では、『続 窓ぎわのトットちゃん』で紹介した、香蘭女学校の校歌の「咲くはわが身のつとめなり」という一節に共感してくださっている人が多いと、出版社の方から伺っています。若者がそれぞれに「自分の花を咲かせたい」と考えるのは、時代や国境を越えて、みな同じなんだと思いました。また、「自分の花」を咲かせるための努力ができるというのは、自分が置かれている世界が平和なことの証拠です。

私としては、この本を読んで微笑んでいただければ、それだけで十分うれしいのですが、もしも平和について考えるきっかけになってくれたら、もっとうれしいと思います。

――『徹子の部屋』2022年最後の番組で、ゲストのタモリさんが語った「(日本は)新しい戦前になるじゃないですかね」という言葉は話題になりました。徹子さんは、本のあとがきに「そんなタモリさんの予想がずっと外れ続けることを祈りたい」と綴っていましたね。

本当の平和はいつになったらやってくるのでしょうか。私も、戦争のニュースを耳にするたびに、胸を痛めています。日本でテレビ放送が始まるとき、「テレビは恒久の平和に寄与することができる」と教わりました。『徹子の部屋』でも、高齢のゲストの方たちには、戦争中の話を聞くことを強く意識していますし、「少しでも、平和について考えるきっかけになれば」という思いが、『続 窓ぎわのトットちゃん』の執筆動機の一つでした。

どうやったら戦争を止められるか分からないので、せめて、戦争で何の罪もない子どもが犠牲になることがないようにと訴えていくために、自分にできることをしていきたいと思っています。

■「100年後も希望にあふれる未来でありますように」

中国で人気の「ファーファ」のぬいぐるみを抱く黒柳さん

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