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【日本語放送80周年~その時その人】王艾英さん

CRIPublished: 2021-12-01 17:26:00
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「これで、外国にいる中国人も胸を張って、堂々と生きていけるわね」

……王さんも日本にいたときには、中国人として辛い思いをしたことが、ポツンと口から出たことばに滲んでいた。……

王さんにどのような辛い思い出があるかは分からないが、50代にしては早すぎる深い皺の中の大きな目に涙が溢れているのを見て、わたしは我慢できなくなり、彼女の膝に顔を伏せて泣いた。

「これからは、世界のどこへ行っても、誰にもバカにされないで、堂々と胸を張って生きていける。人民の国が生まれたのだから、これから中国はどんどん良くなって、すばらしい国になる。それを日本の人たちに、わたしたちの声で伝えていくのよ」

北京から世界へと伝わる声、その一語一句にはマイクに向かうアナウンサーや、原稿を作る舞台裏のスタッフたちの心からの思いが凝縮されていたのです。

晩年の王艾英さん

王艾英さんについて、本人のことを直接伝える資料は多く残されていません。後輩の陳真さんの回顧録を読めば、王さんは物資不足の中、アナウンサーにしか配給されなかったタマゴを自分にそっと分けてくれたり、自分よりも他人を優先させるという心を教えてくれた優しく、尊敬できる先輩だったことが分かります。

ちなみに、王さんの夫、何思敬さん(1896-1968)は浙江省生まれの著名な哲学者、法学者です。東京帝国大学に留学中、経済学者の河上肇の影響を強く受け、社会活動に目覚めました。新中国成立後、北京大学法律学部、中国人民大学法律学部と哲学部の教授を歴任しました。王さんと何さんの二人は三人の娘をもうけ、長女は後の外交部長・黄華氏の夫人となりました。

◆野田正彰『陳真~戦争と平和の旅路』

◆陳真『柳絮降る北京より――マイクとともに歩んだ半世紀』

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この企画をお聞きになり、お読みになってのご意見やご感想、または80周年に寄せた思いやメッセージをぜひお寄せください。メールアドレスはnihao2180@cri.com.cn、お手紙は【郵便番号100040中国北京市石景山路甲16号中国国際放送局日本語部】までにお願いいたします。皆さんからのメールやお便りをお待ちしております。

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