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ピンポン外交から50年、名古屋で記念シンポジウム(下)~友好のバトンは受け継がれていく

CRIPublished: 2021-09-10 21:15:00
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朱教授の呼びかけに呼応する形で、出席した愛知大学の李利春教授は、ピンポン外交にかかわった関係国は「共通の利益と協力関係の構築を求めて歩み寄った」と評価し、「自国優先主義の超大国だけがグローバルガバナンスを支配するには無理がある。米中関係は高音の部(=対立)もあれば、低音の部(=協力)も通奏低音(=かけひき)の分もある」と話し、ややもすれば、対立のみが注目されるが、そのような見方はやや短絡的だ」と指摘し、調和と協力を基調とする国際関係の再構築を呼びかけました。

■孔鉉佑大使:先人の貢献を忘れない今は日本の戦略的知恵が改めて試される時

基調講演をする孔鉉佑駐日大使

リモートで基調講演を行った中国の孔鉉佑駐日大使は、「後藤先生の貢献を決して忘れない」と重ねて表明したうえで、後藤氏の書き残した文章を抜粋して紹介しました。文章の中で、後藤氏はこう綴っていました。

「7億5千万の人口や日本の26倍も広い国土を持つ、隣国の中華人民共和国との友好関係は絶対に必要である。今日の不正常な状態を一刻も早く解消し、日中国交正常化を果たすことが急務である。日中両国が真の意味で結束することができれば、アジアに平和をもたらすことができる。卓球を通じてその実現を目指す」

孔大使は、今年の東京オリンピックで競い合いながらも、仲よく付き合い、尊敬し合う友人関係を保っている両国の卓球選手の姿に触れ、「ピンポン外交の精神が半世紀にわたりよく受け継がれ、喜ばしい限りだ。これは、後藤先生に対するこの上ない記念と供養だ」と話しました。

さらに、「中日国交正常化は、中米の国交回復よりは約7年も早い。日本は、西側諸国の中で一番早く中国の改革開放を支持し、また、中国の急速な発展から大きな利益を受けてきた。日本が国際協調外交を展開し、アジア隣国との関係を発展させたことで、自身の経済的飛躍を成し遂げたのみならず、アジアの繁栄と振興にも大いに貢献した」と称えました。そのうえで、「その間の日本外交が成功した最も大きな要因は、大国間の駆け引きで一辺倒ではなく、あくまで自国の根本的利益を見据え、戦略的自主性と柔軟性を最大限に維持したことにある」という学者の分析を引用し、「中米の駆け引きを最も著しい特徴とする新たな国際情勢の中で、日本側の戦略的知恵が改めて試される時に至っている」と日本側の理性的な行動に期待を示しました。

■日本卓球協会会長後藤鉀二氏秘書・小田悠祐さん:7億の中国人民がついている

日本卓球協会会長後藤鉀二氏秘書・小田悠祐さん

パネルディスカッションの部では、朱建栄教授からの質問に対して、後藤鉀二会長の秘書をしていた小田悠祐さんは、半世紀前の北京訪問で忘れられないエピソードを紹介しました。

「会談がまとまって、村岡久平先生、森武先生と私と、後藤先生の三人で、部屋に閉じ込もって大酒を飲んでいた最中、通訳の周斌さんから周恩来総理がお会いすると案内され、急きょ着替えて、顔を洗って、人民大会堂へと向かった。人民大会堂の階段を上がったら、周総理が入り口まで出迎えていただいていた。確か『天津の間』だったと思っているが、そこで集合写真を撮ってから、周恩来総理との会見に臨んだ。周総理は特に後藤先生の勇気を非常に高く評価し、『後藤先生の後ろには、7億の中国人民がついています』と、シンガポールで行われる卓球連盟の臨時総会にのぞむにあたって、激励の言葉をいただいたのが強く印象に残っている」

小田さんはまた、周総理は琵琶湖のことを非常に気にかけていて、「今でも綺麗ですか」と質問されたのに対し、後藤先生は「最近公害で大変です」と答えると、非常に残念がられた様子を未だに覚えています。

余談ですが、最近、学者の研究で判明したことは、周総理の母方の祖父が水利専門家だったため、幼い時に祖父から水利に関する知識をたくさん教わり、琵琶湖のことを気にかけていたのではないかということです。若き頃に琵琶湖を観光した経験もあり、そうした育ちの環境とも関係するのではないかとも指摘されています。

■中日友好のバトン、次世代へと渡されていく

挨拶に立つ愛知県日中友好協会会長の後藤泰之さん

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