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クブチ砂漠を行く~「低侵襲手術」が砂漠緑化に貢献

CRIPublished: 2021-06-09 17:50:00
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現場で技術指導に当たっている常朝輝さん(42歳)が実施概要を紹介してくれました。事前に準備しておくものは苗木のほか、作業予定地点で、小型モーターで駆動する井戸ポンプをあらかじめ設置しておく必要があります。井戸ポンプを中心に、半径約400~500メートルが一つの作業エリアとなります。地下からくみ上げられた水は、太目のホースを通して地上に通された後、3本の細目のホースに分流され、三組の作業員が異なった地点で同時に作業します。ホースの先端は、取手のついた継ぎ手で直管につないでいます。砂地のため、自然の水圧で穴をあけることができます。

「人体の場合、腹腔鏡や内視鏡手術のほうが体への負担が小さく、回復が早い。同じように、砂漠では、地面を掘り起こす面積が少ないほうが、砂の湿度に影響を与えずに済むため、活着率の向上につながる」と常さんは言います。

流動砂丘が多いクブチ砂漠

流動砂丘が全体の6割を占めるクブチ砂漠では、従来の植樹法だと、事前に砂粒の飛散を防止する砂防工事を施す必要があります。「草方格」といい、藁や木の枝で地面に1メートル四方の柵を設置しておかないと、一冬で苗木が砂に埋もれてしまう恐れがあります。しかし、低侵襲植樹法だと、穴掘り、植樹、水かけが一気呵成に作業でき、苗木が活着しやすいため、砂防工事の労力と費用を省くことができます。

クブチでの実践が他の砂漠に広がる

低侵襲植樹法は、クブチ砂漠で生態修復にあたる民間企業・億利社により開発され、2011年に特許権を取得。開発チームの張吉樹さん(億利砂漠研究院副院長)によりますと、最初は挿し木で増やせる在来種、沙柳の植樹法として試験を始め、2年後には、「枝は110センチに切り、立ったままで5日間、水に浸しておく。植える際には、枝を10センチほど地表に出すようにする。植樹地点については、向かい風に当たる砂丘の3分の2以下の位置とし、間隔は3メートルとする」という知見をまとめました。

億利砂漠研究院・張吉樹副院長

この方法で植えた沙柳は、活着率が従来の50%から約90%に高まり、他の樹種にも応用した結果、概して活着率が従来の5~6倍も高いことが分かりました。また、地下水など水源が確保できない場所では、地表から20センチほど掘れば湿った砂があるというクブチ砂漠の特性を生かし、電動ドリルで穴を掘る「乾式低侵襲植樹法」も開発されています。

クブチ砂漠の植樹シーズンは毎年、3月半ばから5月下旬までとなっています。現場で植樹に当たっている作業員の話では、5人一組の場合、1日5000本余りの苗木を植えることができます。

低侵襲植樹法で植栽する現場の様子

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