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<コロナ禍の戦後75周年、私が今思っていること>その4~北海道石狩市・上田知晴さん&東京都・山本加津彦さん

CRIPublished: 2020-08-04 23:20:00
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最初に個人的な話にで少し長くなりますが、実は、僕の祖母、祖父は中国で出会いました。祖母は蚌埠で看護団にいて、幼い頃、中国の話をよく聞いていましたが、幼かったので良い話ばかりに聞こえました。優しかった祖父はよく中国語での数字を教えてくれました。

僕が高校生の頃は、日中関係は良い時期だったので、何も知らず中国人の友人と文通し学校に行き歴史を学び、修学旅行で中国に行き南京大虐殺記念館にも行き、色々知っていくうちに日本軍がしたこと、もしかしたら祖父や祖母は中国でひどいことをしたのでは無いかと、恐ろしく辛い気持ちになりましたが、当時は聞けませんでした。

祖父は話を聞けないまま亡くなってしまいましたが、数年前、思い切って、祖母にどうして中国に行ってどんなことをしていたのか聞きました。祖母は蚌埠にいた時の話をしてくれました。蚌埠には宗教で派遣された看護団として行き、蚌埠の中国人の方々と共に医療体制を整えたりしていたそうです。そこで出会った中国の方々は、日本に戻った後も、蚌埠の方々が祖父と祖母に会いにきてくれたこと、会いに来てくれた中国の方が、看護団の長?的な方の墓参りをしてくれたこと、戦争に振り回され辛い時代だったけれど、目の前の人と人がお互い思いやり信頼し合うことが、どれだけ大事か身にしみたと、話してくれました。祖父は、お人好しだから人のために尽くし、利用され、そのせいで貧乏だったけれど、人を傷つけなくて良かったと。祖母は96歳ですが、蚌埠での中国の方々とのことを死ぬまでに書き残したいと言っています。

これは、祖母一人の話なので、酷い現実の中のほんの一部の綺麗事でしょうけれど、僕は戦時中においてのその一つの絆も、大事な歴史ではないかと僕は感じました。僕はたった40年しか生きていない人間ですが、最近の10年もあっという間に感じるので、戦後75年というのはつい最近のことでないかと感じます。長い時を経てやっと友好関係を築いたと思えば、一つの出来事で国民の感情が左右され、デマで簡単に味方から敵になり、人を人として見られなくなるもので、無知や偏見は恐ろしいと思います。歴史や人としっかり向き合えば、酷い過去があり、そこから築き上げた絆がどれだけ尊いものか知っていれば、簡単に流され覆ったりしないはずなのに、と思います。僕も、大した考えもない普通の現代人ですが、この時代に生かされる一人として75年、数え切れない多くの犠牲の上に成り立っている「今」がなぜあるかを知り、守り、ここに残してくれた願いを次の世代へ繋いで行く役割があると思っています。

今は、昔とは違い、このようなネットのツールで簡単に国外の方と個人で繋がれる時代です。国を越えて人と人がコミュニケーションをとることができ、情報も多角的に見ることができ、間違った使い方をすれば危険だけれど、正しい使い方をすれば、愚かな戦争を無くし、世界が平和な未来へ、同じ方向へ向かえるはずなのだと思います。今回の企画は、その現代のツールの正しい使い方の一つのだと思って、やっています。歌がどうこうよりも、そんなことができる時代なのだから、手を繋いでもらえるかわからないけれど、伸ばしてみようと思って精一杯伸ばしていますが繋いでくださってありがとうございます。

小学生の頃読んでいた、「はだしのゲン」では、戦争の恐ろしさだけでなく、人の心を歪む中で、朝鮮人の朴さんの存在を書いてくれたことで、人種や国で人を括ることの愚かさ、そういった偏見に堂々と立ち向かう心の大切さを教えてもらいました。今回の詩「広島愛の川」は中沢啓治さんが、広島でよく耳にする「戦争」「平和」「原爆」の言葉は使われていません。代わりに「怒り」「悲しみ」「優しさ」という言葉で平和への願いを書かれています。「怒り」「悲しみ」は消えない事実だけれど、もう、次の世代には人の「優しさ」を遺してあげたい、そんな願いを受け取ったので、国を問わず、次の世代の子供に届けたいなと思いました。

【リンク】

<コロナ禍の戦後75周年、私が今思っていること>その1「紫金草物語」作詞者・大門高子さんの思い

<コロナ禍の戦後75周年、私が今思っていること>その2神宮寺敬さん(100歳)、東京都大田区・三輪徳尋さん

<コロナ禍の戦後75周年、私が今思っていること>その3名古屋市・丸山隼人さん、四万十市・杉村和男さん、ラジオネーム“大本営発表には騙されないヨ”さん

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