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新型コロナとの戦い~マスクを届ける楊熹さんの物語(下)

CRIPublished: 2020-06-23 17:47:00
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和歌は、中国の漢俳の名人、劉徳有氏によるもので、訳は王衆一編集長です。

楊さんは、日本に届けたマスクは、初期に日本からたくさんの支援物資が送られてきたことへの恩返しであり、京都で赤の他人である娘に優しく接してくれた看護師への御礼でもあると言います。「京都に送ったマスクは、もしかしてその方の手元にも届いているかもね」と、電話の向こうから、楊さんの明るい声が聞こえてきました。

■新型コロナに気づかされる、人類は運命共同体

6月半ばの上海は、状況がずいぶん落ち着いてきました。インタビューした日は、楊さんは上海駅近くに新たに開店したジュエリーショップを視察していました。楊さんは、「上海はもう普通に渋滞していますよ。渋滞って本当に良いですね」と嬉しそうでした。たった数ヶ月前の痛烈な思い、彼女は忘れていません。

「新型コロナで痛感したのは、何気ない日常のありがたさです。今も鮮明に覚えています。上海も一時期、外出の自粛で道路から車が消え、そんな道を自分だけが車で通った時、言葉では言えない恐怖を覚えました。また、家に閉じこもって過ごす日が長く続くと、ある時、無性に喫茶店に行きたくなったことを覚えています。『その店のコーヒーをぜひ飲みたい』というよりも、人混みの中で、大勢の知らない人と普通に同じ空間にいたいだけでした。生きていく上に本当に大事なことはなにか。気にすべきこと、気にしなくて良いこと、以前の自分よりも分かってきような気がします」

新型コロナが自身の心構えにもたらした変化を楊さんは淡々と振り返り、そして、終息後の願いをこう聞かせてくれました。

「一番やりたいことは、旅行ですね。一番行きたいところは、日本です。京都の看護師さんを訪ね、直接御礼を述べられたらと思っています」

そして、「この数百年あるいは千年に一度のパンデミックを前に、後から思い出すと後悔しないようなことしかしていません。人類は運命共同体。私はこの言葉を信じてやみません」と力強くインタビューを締めくくりました。

<インタビュー前編・お便りの抜粋>

★高知県四万十市・杉村和男さん

6月16日の「CRIインタビュー」での楊熹さんのお話、日本、イラン、イタリア、セルビア、ハンガリー、ドイツ、イギリスなど、マスク20万枚余りを寄贈したことについて、私財をはたいて、更には「良いことをした時、名前を残さない」はずなのに、名前が出たことに大変申し訳ないとは、頭の下がる思いであり、尊敬の念を抱かざるを得ません。

コソボ紛争で中国大使館が爆撃され、3人が犠牲になったという悲しい出来事があったことは全く知りませんでした。と言うのも私が学生の頃、地理で習った国名はまだ、ユーゴスラビアでした。その時に親切にしていただいた現地の警察に恩返しとして、あえて送付先を指定したというストーリーも感動的で良かったと思います。

★名古屋・ゲンさん

6月16日の「CRIインタビュー」を聞いて、浮かんだ諺が「情けは人のためならず」です。謙虚な楊さんの気持ちはまっすぐに伝わってきました。昔、日本の五千円札に載っていた新渡戸稲造(にとべいなぞう)が作った詩の一部分なんですって。「武士道」を貫いて生きるための366の格言集の中の「一日一言」に書かれていて、

施(ほどこ)せし情は人の為ならずおのがこころの慰めと知れ

我れ人にかけし恵(めぐみ)は忘れてもひとの恩をば長く忘るな

自分が他人にした良いことは忘れてもいい。でも、人から良くしてもらったことは絶対に忘れてはいけないよ、ということですね。

「武士道」を読んだ時の感動が、楊さんという、潔い人柄に通じるものがあって、強さや優しさを併せ持った、なんて素敵な女性かと思いました。特にベオグラードで、侮辱した男たちのグループに、食って掛かった楊さんの純粋さに感動しました。

★東京都大田区・三輪徳尋さん

上海市民の楊熹さんの言葉に徳は隠すものだと話されていました。とかく「やらない善よりやる偽善」が多くなっているように感じる昨今、「人知れずに良い行いをした人には、天が報を与えてくれる」という陰徳を積むことを大切にしている方の行いには、本当に敬服します。昔から、「夫有陰德者、必有陽報、有陰行者、必有昭名(淮南子)」「施しをするときは、右の手のすることを左の手に知らせてはならない(マタイによる福音書)」など、陰徳を積むことが人として大切な行いであり、隠積徳は子孫まで幸運をもたらすなどと書物にも記され、多くの賢人の教えとして今に伝えられています。しかしながら、善行を自慢したり、傲慢な態度をしたり、善行よって注目された人を嫉妬したり、誰かに認めてもらわないと良い行いをできない人が多いように思います。「徳尋」名に「徳」を冠していながら、この年齢にもなって十分な陰徳も陽徳すらも積めずにいる自分が人のことなど言えませんが、人として陰徳が積めるのは、それだけの器を持った人でないとかなわないもだろうと思います。

◆ ◆

ウイルスを前に、ガードラインを強く構築しようと奮闘した楊熹さんの物語を2回続けてお送りしてまいりました。新型コロナの世界での感染拡大がまだくい止められていない中、世界各地にまだまだたくさんの人間物語があると思います。リスナーの皆さんからも、ぜひあなたの知っている忘れられない人や出来事をお聞かせいただければと思います。メールアドレスはnihao2180@cri.com.cn、お手紙は【郵便番号100040中国北京市石景山路甲16号中国国際放送局日本語部】もしくは【〒152-8691東京都目黒郵便局私書箱78号中国国際放送局東京支局】までにお願いいたします。

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新型コロナとの戦い~マスクを届ける楊熹さんの物語

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