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「ポストコロナ」の中国経済~対外経済貿易大学・西村友作教授に聞く

CRIPublished: 2020-05-27 13:27:00
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また、有効投資の拡大においては、次世代通信規格5Gや、電気自動車の充電スタンドを含む「新型インフラ」投資を拡大する方針を示しました。この原資として、地方専項債(特別債)を前年比約70%増やし、3.75兆元(約57兆円)発行する見通しとなっています。

さらに、財政赤字の規模を前年より1兆元増やすと同時に、緊急時の特別措置として、感染症対策特別国債1兆元を発行。この2兆元すべてを地方に回す予定となっています。

新型コロナウイルスの影響は、元々経済基盤の弱かった「地方」や「農村」で大きくなっています。さらなる格差拡大を防ぎ、社会を安定させようという意図が伺えます。

――確かに、これに関連して「企業の安定成長、雇用の確保」に関する措置にも、多くの関心が寄せられています。

新型コロナウイルスの影響を強く受けているのが中小零細企業です。報告の中でも、減税、料金引き下げ、金融支援など、様々な支援策を示しています。経済活動の基盤となる雇用に関しても、今年は874万人に及ぶ大学新卒者、地方からの出稼ぎ労働者(農民工)、退役軍人、さらには障害者などの就職困難層をサポートする方針が打ち立てられています。

新型コロナウイルスの影響は、社会的弱者に対してより強く出ています。そこを重点的にサポートする姿勢も、今回の報告の中から伺えたと思います。

5月23日、第13期全人代第3回会議年次総会開幕の様子

プラス材料は「新経済」終息後の急回復に期待

――中国の「新経済」(ニューエコノミー、ニュービジネス)を挙げることができると思います。中国ではスマートフォンの電子決済アプリが急速に普及し、それをプラットフォームとして様々なビジネスやサービスが社会全体に大きく広がっています。また近年、経済発展モデルがイノベーション駆動型へと転換されてきたのですが、「新経済」はまさにその成果の一つと言えます。今回の政府活動報告で示された様々な政策は、まさにこの流れを加速させるものです。

通信を例にしますと、過去には4G の普及によって、我々が想像もしなかったようなサービスが相次いで開発されました。スマートフォンを使って実店舗でストレスなく決済できるのも、バスの中で動画を視聴したり、オンラインゲームを楽しんだりできるのも、歩きながらテレビ電話で会話ができるのも、地図アプリで目的地を探すのも、すべて高速モバイル通信によるものです。

今回示された新型インフラ整備の強化によって、5Gネットワークが急速かつ広範囲に整備されれば、今後はいままでとさらに異なるビジネス、サービスが生まれ、新たなビジネスエコシステムを形成していくに違いありません。これは今後の中国経済の発展にとって、大きなプラス材料になると思います。

――17年前、中国でSARSが流行した時に、公共交通機関でのリスクに対する人々の懸念から、中国は一気に車社会に突入しました。そして今回の新型コロナウイルスの感染拡大では、「巣ごもり消費」が非常に注目されました。中国では元からデジタル技術の経済面での活用が脚光を浴びていましたが、これを機にますます勢いがつきそうですね。

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