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なぜ今中国で「いけばな」なのか~花展での取材(後編)

CRIPublished: 2024-04-17 16:06:29
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このように芸術を語る王さんは、「稽古は雑念を取り払い、集中することができる。必ず週一回は通っている。今後は、とにかくもっとたくさんのスタイルを習いたい」と、意欲を見せました。そして、飽くなき探究心の源について、「それぞれのスタイルにはそれぞれのこだわりがあり、植物の生長を詳細に観察して決められたものも多い。そういったことに大変魅力を感じている」と語りました。

■【金煜さん】稽古歴8年 「より仲睦まじい世界に通じるいけばな」

稽古歴8年の金さん

王松さんが西洋美術をきっかけとして、いけばなと出会った一方、金煜さんは東洋の哲学思想を切り口として、2016年にいけばなの道に入りました。

大学では金融を専攻し、若い時は仕事に追われた時期もあったという金さん。現在はフリーランスになり、好きなテーマで研究をしたり、気がむくままに文章を執筆したりして過ごしています。

金さんはいけばなに内包された「生きること」にまつわる理念に惹かれ、稽古を始めたと言います。また、今回の花展では体験レッスンの講師の一人として活躍していました。

「一輪の花でも、見る角度によって見える姿が違ってきます。この考え方を広げると、他人と異なった認識というものは、往々にして見る角度によるものであり、優劣や正否とは関係がないということができます。それを知っていれば、もっと優しく包容力ある目線で世界と向き合い、より仲睦まじい世界を築いていくことができると思います。」

そう話す金さんのレクチャーには多くの人が耳を傾け、とりわけ受講生の好評を博していました。

金さんの作品(生花新風体)「細い枝にも力強い生命力が満ちている」

普段、教室や家の中で花をいけることは、自らの内面との対話であり、花展での花との向き合い方はまた異なるという金さん。その理由を、会場の照明やレイアウトなど外部の要素も考える必要があるからだと指摘し、「花展は外部に向けての発信であり、花の言葉を借りての交流でもある」と語りました。

現在いけばなの指導者をめざしている金さん。今後もいけばなを通して、内面との対話、そして外部との交流を深めていきたいと意気込みを聞かせてくれました。

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いけばなの中に、自分が求める何かを感じ取り、より良い人生を送る上での糧にすることができるという確信。それが、生徒の皆さんが共有する思いでした。

北京で15年間いけばなを教えてきた堀江森花さんは、「最近は美しい花を触ることに癒しを求め、いけばなを『心のデトックス』と感じて入門する人が増えた」と言います。中国は高度成長期を経て、質の高い発展の道を歩み初めています。がむしゃらに猪突猛進するのではなく、一息ついて美を探し求める人は今後も増え続けるでしょう。

池坊をはじめ、日本のいけばなが、美を求める中国人の暮らしにどのように親しまれていくのか、花を通じた交流がどんな美の果実を実らせるのか、今後も目が離せません。

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