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日本と中国はとにかく対話を ~大平正芳氏の孫・渡辺満子さんと「二つの45周年」を振り返る~

CRIPublished: 2023-07-25 22:16:35
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7月21日に北京で行われた出版交流会では、同書に収録された美智子皇后の和歌40首あまりが、優雅な中国語の詩文に翻訳された点が関係者の目に留まりました。俳句・漢俳交流に長年携わってきた、日本語月刊誌『人民中国』の王衆一前編集長が「両国の詩歌交流の面でも意義がある本」と指摘すると、満子さんは「言葉の壁を乗り越えた」と笑顔を見せました。

満子さんはまた映画交流における新企画も明らかになりました。福建省から日本に渡って禅の思想を広めた隠元禅師(1592~1673)を取り上げる日中共同制作映画の企画案が進められているということです。「ぜひ良い映画に仕上げて、両国の人々にたくさん見てもらって、拍手をいただきたい」と語りました。

■日本と中国はとにかく対話を

1979年12月、訪中した大平正芳首相は中国の指導者・鄧小平氏と対談しました。

大平氏からの「中国の現代化の目標は」という質問に対する回答の中で、鄧小平氏は「小康社会や中国式現代化の実現」という理念を初めて表明しました。

その13年後の1992年は、中日国交正常化20周年に当たる年です。その時、中国はすでに二桁の経済成長が続く時期に入り、満子さんはその年に初めて中国の土を踏みました。当時、料理番組を担当していた彼女は、その時に見聞きしたことを今でもはっきり覚えていると言います。

「北京出身の料理研究家ウーウェイさんの実家を訪ねました。お母様と一緒に自由市場で野菜を買ったりして、手作りの水餃子がごちそうになったことが素敵な思い出です」

その後、満子さんは毎年のように中国を訪れ、改革開放で目まぐるしく変わっていく中国の様子を目の当たりにしました。

「鄧小平氏は『小康社会(いくらか豊かな社会)』を掲げました。大平もまた、小康的で安定的な社会を良しとしていました。でも、たぶん中国はそれ以上に目覚ましい発展をしていると思います。今の北京では、自由市場はなかなか見かけないし、外食の方が増えているようです」

都市の発展を評価しながらも、消えてしまったものを懐かしむように振り返った満子さん。「中国の方たちはエネルギッシュだから、これからもどんどん発展すると思う」と話すと、祖父が唱えた「田園都市構想」と重ねるように、「物質的な豊かさの次は、一人ひとりの内面の充実を伴った発展をしてほしい」と語りました。

取材の最後に満子さんは、ぎくしゃくした中日関係の現状について以下の言葉で締めくくりました。

「目先のことではなく、もう少しお互いに冷静になって、未来を築こうという気持ちが大事だと思います。環境問題など、グローバルな社会においては地球規模で考えないと間に合いません。お互いに理解しあって、とにかく対話をたくさんするべきです」

その言葉には、かつて「日中関係を、アジアひいては世界の平和と安定に貢献するものとしなければならぬ」と唱えた大平正芳氏の思いが息づいているように感じられました。

【プロフィール】

渡辺満子さん

メディアプロデューサー

1962年東京生まれ。慶應義塾大学文学部仏文科卒業後、日本テレビ放送網株式会社入社。『キユーピー3分クッキング』、皇室特別番組などのプロデューサーを20年余り担当。

主な著書:『祖父大平正芳』 『平成日本皇后美智子』

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