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呉昌碩に導かれて~篆刻家&書家・師村妙石さんに聞く(下)

CRIPublished: 2019-01-22 20:17:00
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聞き手:王小燕

先週に引き続いて、書家で篆刻家の師村妙石さんのお話の後編です。

中日平和友好条約締結40周年の2018年末、「師古妙創-師村妙石篆刻書法展」と題した個展が北京にある中国美術館で開かれました。出展された46組の作品は、漢字が日本に伝わった後の変化や、中国の百家姓、清末民国初期の美術家呉昌碩による梅香の詩をモチーフにした篆刻と書を融合した作品、奮闘している中国を応援しているメッセージ性の強いものなどが含まれていました。展示作品のうち、漢字の由来に深い造詣があることを踏まえた伝統的な書道と篆刻のほか、色彩豊かで、伝統的な書や篆刻とは一味異なった作品もありました。50歳を迎える前から、篆刻の陰影を拡大し彩色する独創的な芸術「ザ・テンコク」です。

展示会場の様子。写真上では、床に陳列された作品は「ザ・テンコク」シリーズです

そのように創作できるようになった発想は、なんとゴッホの展覧でした。そこから受けた感銘とそれまで深い影響を受けつつけてきた中国の書家・篆刻家である呉昌碩の作品との共通性を感じ取ったことが、新しい試みを始めたきっかけだったと振り返ります。

その後、伝統の中に、強い現代性を滲ませた作品を中心に、ニューヨークで2度にわたって個展を開催。しかし、2005年以降、もっぱら海外個展の中心を中国に移してきました。2018年末、中国美術館で行った個展が、師村さんが中国で行った29回目の個展となります。

古希を迎える今年も、夏に呉昌碩生家の浙江省安吉での個展を開催する予定です。どのような展覧会にしていこうと考えているのか、今回もどうぞ引き続き師村さんのインタビューをお聞きください。

師村妙石作品。上(右)の掛け軸は「中国夢・十二祈望」、下は中国にエールを送る「撸袖大干」

【呉昌碩(ごしょうせき)】1844~1927年、清朝末期から近代にかけて活躍した画家、書家、篆刻家。清代最後の文人といわれ、詩・書・画・篆刻ともに精通し、「四絶」と称賛され、中国近代でもっとも優れた芸術家と評価が高い。1903年、葉銘・丁仁・王禔・呉隠らと西湖湖畔に西泠印社を設立し初代社長となります。

【西泠印社(せいれいいんしゃ)】浙江省杭州市の西湖に浮かぶ島・孤山の麓にある篆刻を中心とする学術団体、及び関連企業・庭園の名称である。名前の由来は、対岸との間にかかる橋「西泠橋」の袂に本社があることによります。

【プロフィール】

師村妙石(しむらみょうせき)さん

書家、篆刻家

1949年、宮崎県生まれ。1972年に福岡教育大学特設書道科を卒業。現在は北九州在住。

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