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内山書店と中国〜変わらぬ絆と新時代の交流物語(後編)

CRIPublished: 2024-10-03 21:49:33
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「デジタルネイティブは、実は国境を簡単に超えられる世代でもあります。インターネットの普及で、国境を意識せずに情報や文化を知る人たちも増えてきています。自分の好きなジャンルで、おもしろいなと思ったものが、たまたま中国のものだったーーそこに多分国境はないんですよね。『中国』は後付けでもいい。そういうフラットな往来ができるようになるといいなと思っています。特に、本を読む行為はそんなに努力しなくてもできる行為なので、自然に国を跨げる。そのための場を提供できたらと思っています」

■「いま」の中国を伝えたい

大伯父の完造は活きた中国の姿を日本の人々に伝えるために奔走していましたが、深さんも自分が一番やりたいのは、「今の日本の人に対して、今の中国を伝えること」と言います。

「中国のことを知らないで、一部の報道だけを見て判断する人が多いので、そういった人たちに対して、自分が中国を行き来している中で見てきたことを自然な形で伝えていきたい。良いこと、悪いことも含めて、今の日本の人に今の中国の姿を伝えていくことを心がけています」

社長という重役を担いながらも、本のセレクトや企画の立案の際には、若いスタッフや客からも意見を聞くようにしていると言い、また、「自ら出かけて、さまざまな業界の人とのつながりを増やし、その中から新しいアイデアを生み出していく」という謙虚な姿勢で、学びを深め続けています。

内山書店内で行われていたと中国のゲーム会社とのコラボ企画

その一つの試みとして行っているというのが、業界を跨いだコラボレーション企画。昨年は、中国のゲーム会社との提携で、この会社が開発し、日本でも話題を呼んだ人気ゲームの世界観を表した特設棚を内山書店の店内に作り、そこに、ゲームに関係する本やグッズをディスプレイしました。多くの若者の来店へとつながった企画でした。中学時代の初訪中で受けた印象と大きく異なり、今の中国は多くの分野で日本と同じテンポを歩み、若者同士は共通の話題でフラットに交流するようになっていたことを目の当たりにした機会となりました。

■物語を心に留めて 後世に残せるものを模索したい

中国にできた「内山書店」への思いについても伺いました。

「日本人の名前のついた本屋が中国にできて、みんなそこに足を運んでくるということは、非常にありがたいなと思います。本来、本屋の店主だった人たちは、歴史の表舞台に出るような人たちではないですが、中国と日本の困難な時期にあっても、個人と個人の交流が色々と行われていたし、評価もされていることをもっとたくさんの人に知ってもらいたい」

中国にある「内山書店」の趙奇総経理をはじめ、管理職のメンバーらからは「深哥(深兄さん)」と呼ばれ、頻繁にWechat(中国のメッセージアプリ)で連絡を取り合っています。今後は、中国と日本にある「内山書店」同士で、互いに「おすすめの本」のコーナーを設け、人の交流も視野に計画を進めているそうです。

中国で翻訳出版された内山完造著書の一部

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