【観察眼】中国の巨大シルバー市場 日本企業にとっても大いなるチャンス
パナソニックの中国・北東アジア社は2019年に「健康と養老」を中国での戦略事業として取り組むことにした。同社は今年の中国国際輸入博覧会に、活力あるシニア層向けの住宅空間のほか、要介護高齢者向けの離床アシストベッド、折りたたみ式のシャワーチェアなどの介護用品を出展した。パナソニックは中国南部の江蘇省無錫市の宜興で、中国企業と共同で「雅達・パナソニックコミュニティー」という住宅開発プロジェクトに参画し、一部の景観造営および空間設計、室内での電気製品の導入を担当した。また、高齢入居者を対象に座って使うシャワーや、尿検査を含めて健康状態をチェックできるスマート便器などを導入した。住居物件の購入者からは、「周辺のいくつかの物件を見比べたが、パナソニックが参与して開発された住宅のほうがよいと思った。両親のために89平方メートルの2LDK住宅を購入した。管理サービスもよく、入居者は民度が高い。食堂があり、空気もきれいだ」といった声が聞こえてくる。パナソニックは北京市、青島市、陝西省などで、30以上のプロジェクトに参画している。パナソニック中国・北東アジア社の本間哲朗社長は、「中国の巨大市場によるニーズは外資企業の中国での事業展開に大きなチャンスを提供した。中国はグループ全体の売り上げを伸ばす重要な市場だ」と述べた。
シルバー市場は双方向でもある。日本は中国のシニア観光客が好む旅行先だ。また、10年ほど前からは、中国の富裕層の高齢者が健康診断やがん検診、がんや難病の治療など、日本の高度な医療サービスを利用するようになった。一方で、日本人のシニア層の多くは中国への観光旅行を好む。最近では中国が、日本人は11月30日から、ビザなしで中国に入国して30日間まで滞在できると発表した。このことで、より多くの日本人シニア観光客が中国を旅行して、中国の観光業の発展を後押しするだろう。
試算によれば、現在の中国のシルバー市場の規模は年間7兆元