【観察眼】日本は重要な時期にこそ正しい行動を
「現在、国際情勢と地域情勢は変化と混乱が交錯し、中日関係は改善と発展の鍵となる重要な時期にある。中日両国は隣国であり、アジアおよび世界の重要な国だ。中日関係には二国間を超える重要な意義がある」。――これは現地時間15日、ペルーの首都リマで開かれたアジア太平洋経済協力(APEC)非公式首脳会議の期間中に、習近平国家主席が石破茂首相と会談した際の発言である。
今回の外遊は、かろうじて首相の座を守り抜いた石破首相にとっての初外遊であり、APECでの中日首脳会談は日本各界からの注目を集めている。一部の日本メディアや政治家は、「トランプ氏の大統領就任に伴い、中米間の競争が激しくなるため、中国は日本に助けを求めて歩み寄ってくるだろう」と得意げに述べているが、このような論調は実に浅薄で短絡的なものと言わざるを得ない。
現在の国際情勢は「変化」と「混乱」が複雑に絡み合っている。トランプ氏の政権返り咲きは重大な不確実性をもたらすが、日米関係は今後どうなるのか?米国の追加関税政策は同盟国である日本に再び打撃を与えるのか?トランプ大統領が次に何をするのかを確実に予測できる者はおらず、不確実性とリスクにさらされるのは日本も例外ではない。
中東の混乱、ロシアとウクライナの危機、朝鮮半島の緊迫の高まりなど、世界の高リスクな状況には、いずれも米国が深く関わっている。世界は決して平和ではない。資源が乏しく、グローバル産業チェーンに深く依存する日本にとって、この乱世を生き抜くためには必要なのは安定した成長環境だ。この重要な時期にこそ、日本は正しく行動すべきであり、誤りを犯してはならない。
現在の中日関系は、まさに改善と発展の「鍵となる時期」にある。周知のように、過去の一時期、中日関係は決して良好ではなかった。その理由は明白だ。日本は米国のアジア太平洋戦略によって、中国との対立の最前線に立たされていた。さらに、日本国内の一部の右翼勢力もまた、反中感情を利用して米国からの「規制緩和」を狙っていた。彼らは政治的な私利のために、隣国との正しい付き合いのあり方を顧みず、日本国民の利益を捨て去ったのだ。
しかし、ひたすら米国に迎合するだけで、日本は本当に「普通の国」になれるのだろうか。もし米国が日本のことを「普通の国」と認めるなら、今も日本に駐留軍を残す必要はないだろう。もし米国が日本のことを「味方」と思っていたなら、「プラザ合意」で日本経済を崩壊させることもなかっただろう。米国の利益という天秤の前で、日本は決して不可欠な存在ではなく、対等なパートナーでもない。口先だけのリップサービスにすがるよりも、ありのままの現実を直視すべきではないだろうか。
11月10日、自民党の小野寺五典政調会長はフジテレビの番組で、石破首相とトランプ次期米大統領との電話会談が「わずか5分足らずだった」と明かした。小野寺氏はさらに、トランプ氏が日本車に対する関税を引き上げる可能性が高いこと、そして在日米軍の駐留経費について日本側が「かなりの高額を提示される恐れがある」ことも指摘した。
在日米軍の駐留経費の日本側の負担は「思いやり予算」と呼ばれる。この「思いやり」には、在日米軍基地での各種施設の建設や維持費用が含まれる。さらに訓練の移転にかかる費用、軍人宿舎、光熱費や水道費、基地内の日本人職員の給料に至るまで、まさにその名の通り、至れり尽くせりの「思いやり」である。ただし、この「思いやり」の費用の財源は税金であり、それを支払っているのは日本国民であることを忘れてはならない。