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【観察眼】座礁老朽艦を地域の平和と繁栄の妨害にしてはならぬ

CRIPublished: 2024-02-02 14:48:47
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南海地域をめぐる最近の動向をピックアップしてみよう。

2022年6月にマルコス大統領が就任してから、米国と2014年に結んだ「防衛協力強化協定(EDCA)」を改定し、米軍がフィリピン国内で使用できる基地を5カ所から9カ所に拡大し、2023年4月には約1万7000人が参加する過去最大規模の合同軍事演習を実施したに続いて、6月に日米比による初の合同演習も行った。11月に岸田文雄首相がフィリピンを訪問し、総額4億円の海岸監視レーダーをフィリピン軍に供与することを決定した。これらレーダーのデータは、日本の自衛隊と米軍に同時にリアルタイムで共有される。同11月、フィリピン軍は南海の海上と空域で立て続けに米軍とオーストラリア軍とそれぞれ合同パトロールを行った。

その一連の流れの延長線上に、2023年にフィリピンが座礁軍艦に補給する際に、米国が軍用偵察機を出動させ、仁愛礁付近の空域で活動し、最近の数回はミサイル駆逐艦まで派遣している。さらに、フィリピン高官がメディアに明らかにしたところでは、米国は座礁軍艦の修理を支援する意向であるともいう……

2024年は明けてまだ1カ月しか過ぎていないが、早くも一連の動きが起きている。まずは、インド製超音速巡航ミサイル地上システム「ブラモス」が間もなくフィリピンに配備されることである。続いてはマルコス大統領がベトナムを訪問し、両国政府が沿岸警備隊同士の協力強化で合意したと発表した。さらには、フィリピン軍は座礁軍艦に補給物資を空中投下したとして、国際世論を大々的にあおり立てた。そしてフィリピン側の関係者4人が中国黄岩島の礁盤に不法侵入したという動きも……

気がついてみれば、フィリピン側のこうした「積極的」な動きにより、日米を始め、当事者ではない国々が次々とこの地域の安全保障に介入してくる事態になっている。これにより、南海問題はますます軍事化、国際化、複雑化の様相を呈し、この地域の安全保障情勢をいっそう厳しいものにしていると言える。

南海は世界的に重要な海上貿易ルートであり、毎年約3兆ドルの物品がこの海域を通過しているとみられている。日本にとっての重要性も言うまでもない。早くも日本の有識者からは、日比の安保協力は、地域の緊張を高めてはならないという声が上がっている。そして、双方の協力は軍事に偏重したものにすべきではなく、地域の安定を損なうような、敵対的な包囲網の構築には警戒を要するという声も聞こえる。

では、南海問題の解決には何が必要なのか。2002年、中国はフィリピンを含むASEAN諸国と共に「南海における関係各国の行動宣言」に署名した。その第2条には「領土・管轄権紛争は、直接に関係する主権国家同士が友好的な協議と交渉を通じて平和的な方法で解決をはかり、武力に訴えたり武力で威嚇したりしてはならない」と明記されている。

フィリピンが他の国を引き込んで「小さなサークル」を作っては南海各方面の政治的な相互信頼を破壊することは、南海問題をさらに複雑化するだけであり、南海の平和と安定にとっても不利であり、ASEANの実利から乖離してしまう。

南海問題は中国とASEAN諸国間の問題であり、いかなる域外勢力の干渉も許されない。フィリピンに本当に南海問題を適切に解決したい意図があれば、第三国を引きずり込まず、冷静かつ実務的な態度を保つ必要がある。過激な行動を取って地域の緊張を人為的に高めるのではなく、対話と協議による紛争解決に力を注ぐべきだ。

老朽軍艦はいずれ解体の運命を免れないだろう。南海海域にとって当面の急務は、座礁軍艦を地域の平和と繁栄・発展の妨げにすべきではないということだ。何故ならば、この海域の平和と安全、航行の自由を守ることこそが各方面の共通利益だからである。

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