未来を聞き、愛を伝える

思諾ちゃんは2歳の誕生日に、人工内耳を通じて初めてこの世の音を聞きました。その時は怖くて泣き出してしまいましたが、お母さんはうれしくて涙が出てきて、「やっと誕生日の歌が聞こえた」と言いました。
そして、音は思諾ちゃんの世界を呼び覚ましたようで、今まで内向的だったのが明るくなり、音楽を聞くと、すぐメロディーに合わせて喜んで踊るようになります。たった1年間ピアノを習っただけで、コンクールで入賞し、音楽は思諾ちゃんと社会の橋渡しになりました。そして今年の4月、上海市で聴覚や言語に関するリハビリの評価テストに合格します。つまり、一般の小学校に入学することができるようになったのです。
「チェロの女神」張莹莹の願い
アルバム「未来を聞き、愛を伝える」の発起人となった張莹莹さんは、中国交響楽団の有名なチェロリストで、全国チェロコンクールのソロー部門で金賞を獲得したことがあります。演奏に素晴らしい表現力があり、西洋楽器のチェロでいかにも中国的な伝統音楽のよさを表現することで多くの音楽ファンを虜にし、「チェロの女神」と呼ばれています。

その張莹莹さんが去年7月にリリースしたこのアルバムは、聴力障害児の家族にさらなる支援や関心が高まり、そして子供たちには自信を持って現実に向かい、社会に溶け込んでいってほしいとの希望がこめられたものなのです。
番組の中でお送りした曲
1曲目虫児飛
空が暗く垂れ込める
そして星がキラキラ
虫が飛んで
あなたは誰を思う
空の星は涙を流し
地のバラは枯れてしまう
あなたさえいれば
2曲目可愛小耳朶
5歳の聴力障害児である思諾ちゃんのために作られたもので、そして本人が歌ったものです。
歌詞:
あなたは私の世界を通り過ぎ
愛を訴えてくれる
あなたの目の瞬きから
音は花のようだと思う
3曲目西風話
この曲は同じタイトルの子供の歌をモチーフにしたものです。西風は秋風を象徴し、その秋風を人に例えて、子供の成長を目にし、秋の果実が熟するのを連想するものです。曲は素朴で緩やかなメロディーであり、子供時代を懐かしく思い出す気持ちを表します。