名作曲家・王洛賓の恋歌(後編)
王洛賓は、心が広く思いやりのあった妻の気持ちを胸に収め、亡き妻の写真を部屋に飾り、15年間にわたって獄中生活を送りました。
年の差を超えた愛情
1981年、68歳になった王洛賓はようやく日の目を見るようになります。部隊は彼のために名誉を回復し、新疆エリア文化宣伝団の芸術顧問に任命しました。この時に作った多くの歌が国内外に広まり、優れた音楽センスで多くのファンを集めます。台湾の有名な女性作家・三毛もその一人です。
1989年、46歳の三毛は台湾からはるばる新疆のウルムチへ行き、王洛賓の自宅を訪ねました。二人はまるで昔からの知り合いに会ったように、音楽や文学、人生などについて話を弾ませます。そして一緒に馬に乗って天山山脈の草原や新疆南部のすばらしい砂漠の風景を楽しみ、年の差を超えた愛情を結びました。三毛は台湾に戻ってから、王洛賓に告白の便りを寄せます。「千里はるばる、あなたと出会う。これは偶然ではなく運命だ。まるで抵抗できない。目を閉じてもあなたの影ばかり、どうしようもない」と書き込みました。
こうした火のような熱烈な告白を受けた王洛賓でしたが、この時すでに77歳、年の差や性格の違いを考えて、断ってしまいました。ところが、その半年後の1991年1月5日、王洛賓はラジオでその三毛が台北で首をつって自殺したことを聞きます。悲しみのあまり夜も眠れませんでした。瞼を閉じるたびに三毛の明るい笑顔や甘い笑い声が浮かびました。そしてその5年後、王洛賓も病気で亡くなりました。82歳でした。
王洛賓は晩年、こうした波瀾万丈の人生を振り返りました。「作品の多くは苦しみの中から生まれたものだ。生涯でしたことはたった一つ、美しい歌声を人々に伝えて、皆を楽しませ、心に少しでも愛を残すことだった」と話しました。
番組の中でお送りした曲
1曲目達坂城的姑娘
ダバンの道はかたくて平ら
スイカは大きくて甘い
ダバンの娘おさげが長い
目がとっても綺麗だ
嫁に行くなら
ほかには行くな
必ず俺の嫁になれ
大金を持って
妹を連れて
馬車でやってこい
2曲目半个月亮爬上来
イーラーラー昇った
あの娘の化粧台を照らしてる
イーラーラー化粧台
半月が昇ったよ
イーラーラー昇って網戸を早く開けて
イーラーラー早く開けて
そしてそのバラ一輪を
そっと投げておくれ
3曲目掀起了你的盖头来(ベールをめくって)」
歌詞:
ベールをめくって
僕に眉を見せて
眉は細くて長いね
こずえに懸る三日月みたいだ