中国共産党100年、時代に合わせた進化こそが生命力の源~西園寺一晃さんに聞く
1958年、西園寺一晃さんは16歳で東京から中国に入りました。そして、北京で暮らす中で、共産党の最高指導者が労働者や市民と同じように人民大会堂などの建設に加わっている場面をその目で見たと言います。こうした青少年期の実体験に基づき、中国共産党と人民の関係性について西園寺さんは、「中国共産党の考え方は、人民に何かを与えるというものではなく、党は指導を行い、人民が自ら建設するというものだ。党は人民の上にあるのではなく、人民の中にあるというのが、中国共産党の伝統的な考え方だと思っている。その関係が崩れない限り、中国は健全に発展できるだろう」と語りました。
1970年代末、鄧小平氏と対面する西園寺一晃さん
そう語る一方で、「物事には裏表がある」として改革開放による大きな成長の陰にある問題点についても触れ、「確かに、中国は輝かしい成果を収めた。しかし、発展の均衡性を失い、経済成長と権力との癒着による腐敗が生じてしまった」と指摘した上で、「だからこそ、科学的発展観と反腐敗運動が誕生した」と強調しました。
中国共産党の今後については、「中国共産党は常にそれぞれの時代の主要な問題を理解し、対応してきたからこそ、中国には共産党が依然として力強く存在している。中国はこのまま行くと、あと10年、20年経てばさらに発展して中進国となり、先進国の入り口に立つだろう。その時の中国共産党にも引き続き、その時点の社会の主要な課題にしっかり取り組んで、改革を継続していてほしい」と期待を寄せました。
取材の結びに、西園寺さんは「人類の歴史上、多くの『強国』が現れた。それぞれタイプは違っても、一つだけ共通点がある。それは、強国になった国は必ず対外侵略を行い、覇権主義を唱えるということだ。中国には、人類史上初の、豊かで強くありながらも平和的な国家となってほしい。中国共産党と人民にはこれを実現する能力があると、私は思っている」との期待を力強く語りました。