パーさんが語る「私の故郷・新疆」(後編)~西側メディア新疆に焦点を当てた理由
また、朱建栄教授は欧米学者の論点を引用しながら、欧米メディアの新疆関連報道に「無理解と偏見」が見られることを指摘しました。そのうえで、「米国は中国に揺さぶりをかける際の『三本の矢』として、台湾、新疆、香港問題を利用しているが、その背後には中国の台頭を抑え込みたいという『政治的意図』が見え隠れする」と分析しました。
朱建栄教授が発言に用いた資料から
朱建栄教授
朱教授はさらに、情報の受け手に求められる姿勢として、「何よりも、両方の意見を聞いて、新疆を客観的に見ることが大事」と訴えました。そのうえで、「長い目で見れば、中国は新興国から先進国に向かう中で、今は国民国家の形成段階にあります。国民国家とは、国家内部の全ての住民を一つのまとまった構成員として統合することによって成り立つもので、そのプロセスは容易ではありません。中国がいま、そのような近代化プロセスの中にあるのだという理解が必要です」と指摘しました。
そして朱教授が提案として「より多くの日本人に新疆を訪れてもらい、その目で実情を見てもらいたい。新疆について、もっと多面的な情報に基づいて判断してほしい」と語ると、パーさんは笑顔でこう付け足しました。
「1981年にはNHKドキュメンタリーの『シルクロード』のおかげで、たくさんの日本人が新疆に興味を抱いて観光に来てくれました。心から感謝しています。コロナが終息した後には、ぜひ一緒に新疆へ行きましょう。その時はメロン1キロ、ブドウ1キロ、羊肉1キロを完食するまでは日本に帰しませんよ」
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富坂教授の指摘のとおり、日常が伴わないままで、異常のみが取り上げられているという国際報道の実情を背景に、パーさんは講演会を通して、新疆の人々の何気ない日常をありのままに伝えました。そして、その何気ない日常の中にこそ、平和への愛、豊かな伝統文化、民族の誇りが生きているのだということを、参加者に気づかせてくれたのです。
ちなみに、「パハルディン」という名前はウイグル語で「自分の信じることを誇りに思う」(パハル=誇れる、ディン=信仰)という意味なのだそうです。
【リンク】
パーさんが語る「私の故郷・新疆」(前編)~「西側メディアの報道鵜呑みは禁物」
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