月探査機「嫦娥6号」が採取した月の裏側のサンプル 映像初公開
中国の月探査プロジェクト「嫦娥6号」ミッションは今年6月、月の裏側でのサンプル採取という快挙を無事に成し遂げ、1935.3グラムの貴重な月の裏側のサンプルを持ち帰りました。人類が月の裏側を研究するためのサンプルを取得したのは今回が初めてです。これらのサンプルは地球に持ち帰る際には、特製の密封タンクに保管されました。最近、そのタンクが開封され、サンプルは約150グラムずつに分けられて10個のガラス容器に入れられました。月の裏側のサンプルが公開されるのは、今回が初めてです。
それによりますと、「嫦娥5号」が持ち帰った月の正面のサンプルに比べ、「嫦娥6号」が持ち帰った月の裏側のサンプルは色がやや薄く、密度も小さく、粒子の起源もより複雑だということです。中には、「嫦娥5号」が持ち帰った月の正面のサンプルより明らかに多い量の長石(ちょうせき、複数の鉱物種を総称する鉱物グループ)やガラスの破片などを含む白色の物質が含まれています。
専門家によりますと、月の裏側のサンプルは開封からサンプル分類、実験に使える小分けサンプルの準備までに約2カ月以上かかりました。サンプルを小分けする作業は非常に難しいもので、窒素を充填した開封操作台の中で行う必要があるためです。厚さ1.5センチの小さなサンプルに分ける必要があり、その作業には細心の注意が必要となります。今後はさらに100以上のサンプルに細分化され、その作業には1~2カ月ほどかかると予想されます。
「嫦娥6号」のミッションに先だって、人類は月でのサンプリングを10回行いましたが、それらの地点はいずれも月の正面であり、ある意味では、人類はこれまで、月の半分に対する認識しかありませんでした。「嫦娥6号」が持ち帰った月のサンプルは月の裏側にある南極エイトケン盆地から採取されたもので、この区域は月で最も古く、最も深い隕石衝突クレーターで、同盆地には月の平均半径から最も低い場所があることから、月のマントルからサンプルを採取できた可能性があります。これは、月の形成ひいては太陽系の進化の歴史を研究する上で非常に重要な意義を持つものだとされます。