【観察眼】捨身飼虎(しゃしんしこ)にも限界はあるはず
現実もそれを裏付けている。日本では利上げが実施されたが、円高どころか、大幅な円安が進んでいる。ドル資産を担保に円建て債券を発行し日本に投資している米国の金融機関は大儲けした。日本では為替相場が急落する一方、株式市場が大幅に上昇している。米国の資本は、配当収入や株価上昇による収益だけでなく、円安によるキャリーリターンを得て大いに儲けている。円安が進めば進むほど、米国資本の利益は大きくなる。
大幅な円安という現実を前に、日本政府は慌てて為替安定のためにドルを売り出した。日本円の対ドル為替レートが34年ぶりの最安値に落ちたことから、日本政府は5月に為替相場を安定させるために622億ドル(約9兆8000億円)を投入した。これは2022年の規模を上回っている。日本政府の為替介入に対して、米財務省はつい先週(現地時間6月20日)、日本を為替操作「監視リスト」対象国に再指定した。これこそ同盟国日本に対する米国の「真心」だ。
米国の貪欲さを満足させられない日本政府は米国に追随して中国企業に制裁を加え、米国の機嫌を取ろうとした。だが、媚びれば媚びるほど、尊厳は失われるだけだ。自らの体をささげて虎に餌をやる「捨身飼虎(しゃしんしこ)」にも限界があるはずだろう。