中国の古典『孫子の兵法』 米刑務所の禁書リストに
中国の「古代随一の兵法書」とされる『孫子の兵法』
文学と表現の自由を擁護する米国の非営利団体「ペン・アメリカ」はこのほど発表した報告書で、中国の古典『孫子の兵法』が米国の刑務所の禁書リストに登録されていることを明らかにしました。
『孫子の兵法』は中国の春秋時代(紀元前770~同476年)の軍事理論書であり、現存する最古の兵法書でもあります。作者の孫武は春秋末期の斉の国の人で、斉の国から呉の国に流浪した後、呉王を補佐して国と軍隊を整えたことにより、諸侯の間で広く名を知られ、「兵聖」と呼ばれました。孫武が著した『孫子の兵法』は「兵学の聖典」「古代随一の兵法書」とも呼ばれ、中国の古代の軍事研究と実戦の中で極めて重要な指導的役割を果たしたといわれています。
「ペン・アメリカ」の発表によると、米国の刑務所によって禁止されている書籍の数は非常に多く、そのジャンルも増えています。禁書リストには中国の『孫子の兵法』のほか、メキシコの麻薬密売組織の幹部グース受刑者が書いた『刑務所ラーメン――檻の向こうのレシピやエピソード』や、米国の女優エイミー・シューマーの回顧録『腰の入れ墨の少女』、英国の画家バーリントン・バーバーの『誰でも絵を描ける:簡単な手順で驚くべき芸術作品を生み出す』などが含まれています。
書籍にセキュリティー上で敏感な内容や性的内容があることが、刑務所で禁止される最も一般的な理由となっていますが、この二つの判断基準が乱用されることも多発しています。これを受け、米ミシガン州の刑務当局の報道官は、新たな審査委員会がその二つの判断基準を見直していると明らかにしています。