モクセイの薫る季節
毎年二十四節気秋分の日前後に、中国各地ではモクセイの花が咲き始めます。夕方、涼しい秋風がモクセイの香りを運んで来ると、秋まで優しくなったようです。今回の中国メロディーはキンモクセイゆかりの曲をご紹介しましょう。
木犀の花が咲いていて、秋までやさしくなったよう
モクセイの花が咲くころは、一年で一番優しい季節だと言われています。モクセイの香りが涼しい秋風に乗ってやってくると、その心に沁みる香りが、世界を優しくしてくれるようです。この時、空の雲、地上の風には、思いが尽きないようです。
モクセイの香りは恋人の味だとも言われますが、その甘い花の香りは、恥ずかしがり屋の少女が恋人の腕の中で、彼とひっそり語り合っているようです。月明かりに照らされたモクセイの木々の緑の間に、小さな花が抱き合うように咲いていて、恋人同士の幸せな笑顔のようでした……
木犀の花の香り、蘇州庭園の格別な詩情を感じ
モクセイの花といえば、歴史文化の名城である蘇州は外せません。蘇州は古典庭園で有名で、蘇州園林の中のあちこちでモクセイの姿を見ることができます。モクセイの控えめな奥ゆかしい香りと素朴で優雅な蘇州庭園は非常によく合っているので、モクセイは蘇州市の花に指定されています。地元のほとんどの家々はキンモクセイの花を植えていて、毎年、キンモクセイの香る季節は、1年の中で蘇州が最も芳しく、最も美しい季節です。特に秋雨で潤った後、あちこちに漂うキンモクセイの香りを嗅いでいると、また格別な詩情を感じるでしょうね。
番組の中でお送りした曲
1曲目桂花香
歌にはキンモクセイの香りを恋に見立て、甘酸っぱい憂いと幸せな喜びが感じられます。
午後の風がさえずっている
木の上のモクセイの花が雨のように降る
花びらが彼女の髪に舞い落ちる
誰がそっと花びらを取ってあげたのか
2曲目桂花香
江南水郷を舞台に、昔の恋人への思いを歌いました。
街中に広がるモクセイの香り
好きだったあの子に聞かせたい
その後あなたは誰の花嫁になったのか
モクセイの木の下で私たちが交わした約束
君は忘れたかどうか
今あなたのために故郷に戻ってきた
あの青春のためにただ夢を見ただけだ
見慣れた大通りや路地を見ながら
モクセイの香りを感じる
3曲目蘇州好風光
蘇州の伝統的な民謡をアレンジしたもので、美しい地方民謡の趣に満ちていて、蘇州の四季の美しさを歌っています。
歌詞:
春には杏の花が咲き雨の中で茶摘みが忙しい
夏のハス池の琵琶の音
秋にはモクセイの花が香ばしく
庭には本を読む声
冬にはろうばいの花が咲き
太湖が長江と連なる
扉や窓を開ければ緑の山と青い水
手元の刺繡は天国を紡ぐ