【観察眼】日本は南海問題で言動を慎むべきだ
最近になりフィリピンの公船が幾度にもわたり中国の南海の仁愛礁と仙賓礁などの周辺海域に不法に侵入し、中国の海警船に衝突するなどで、両国関係および南海情勢をさらに緊張させている。駐フィリピン日本大使はこのような時期に、ソーシャルメディアで2回にわたって「南海での中国の領有権の主張には法的根拠がない」「中国の主張は海洋権益などを定めた国連海洋法条約の規定に基づいていない」と表明した。在フィリピン中国大使館や中国外交部などは、駐フィリピン日本大使の発言に抗議し、非難した。日本のフジテレビですら、ニュース番組で、日本大使館が他国の主張に反論する形で声明を出すのは異例と報じた。
ならば、駐フィリピン日本大使の発言になぜ問題があるのか分析してみよう。日本はこれまで、南海問題について「中立を維持」を掲げてきた。そこで、この日本大使の表明の立場は中立かどうかを見てみよう。
中国は南海問題の紛争で、歴史を見ても中国内外の法律を見ても、南海諸島とその周辺海域についての争うことのできない主権を有しており、中国は自国の領海内に侵入してきた船に対して合法的な取り締まりを実施することは主権の行使と主張している。
一方のフィリピン側を見ると、1935年の「フィリピン共和国憲法」とその後の他の法律は自国領土の範囲を明確に定めたが、中国の南海の島に触れることはなかった。フィリピンは1970年代以降に中国の南沙諸島の8つの島を不法に占領し、上述の島と海域や中国の中沙諸島の黄岩島に対して不法な領土要求を提出した。中国政府はこれに一貫して断固反対し、厳しい抗議を続けている。中国はフィリピン側が主張するいわゆる2013年の南海仲裁裁判の裁定について、「受け入れない」、「参与しない」を一貫して堅持し、仲裁裁判所はこの件に対して管轄権がないことは明らかと明確に指摘した。
したがって、フィリピン公船の侵入こそが「不法な挑発行為」だ。駐フィリピン日本大使の非難には法的根拠がなく、同時に事実の真相を逆立ちさせるでたらめの言いたい放題だった。これは日本のいわゆる「中立を維持」という原則に違反している。だからこそ、日本のフジテレビですら見過ごしにはできず、この大使の表明は異例と指摘した。
次に、国連海洋法条約の順守について見てみよう。日本の行動はどうなのだろうか。沖ノ鳥礁では、満潮時に2つのベッド大の岩だけが水面に露出していることは周知の事実だが、日本は沖ノ鳥礁を完全な意味での島であり、排他的経済水域と大陸棚を伴うと認識し、さらに、200カイリを超えた大陸棚も主張している。しかし、国連大陸棚限界委員会は日本による大陸棚境界画定申請を今に至るも承認していない。日本側のこうしたやり方は国連海洋法条約の関連規則に全く合致していない。この大使はなぜ、この問題については声を上げずに、ソーシャルメディアを通じて「ダブルスタンダード」のやり方で中国を非難したのかを、説明していただきたいものだ。
では、日本の駐フィリピン大使はなぜ偏向してフィリピンに肩入れして支持するのだろうか。その黒幕は米国だ。米国はその「インド太平洋戦略」で、東海と南海での中国の発展を包囲して抑え込もうとしている。その中の一つの重要な行動は、フィリピンによる中国挑発を日本と連携して支持することだ。日本はまた、米国の了解を得て、フィリピンに資金や艦艇、レーダーなどの装備を提供して、全力を注いで支援してきた。2024年7月8日には、両国の軍事分野での協力に法的根拠を提供する「部隊間協力円滑化協定(RAA)」」を締結した。日本は同協定を通じて南海地域にさらに介入しようとしている。
これまでの長い間、日本の一部政治家は南海における中国とフィリピンの紛争を、釣魚島問題における中国と日本の紛争と同列に扱ってきた。例えば、日本の佐藤正久元外務副大臣は今年(2024年)6月、日本テレビの報道番組の「深層ニュース」で、フィリピンが南海問題で「失敗」したら、今のフィリピンは明日の日本だと述べた。日本の政治家はこのような「連想」を通じて、中国とフィリピンの南海問題に対する自国民の認識を偏向させようとしている。
中国の指導者だった鄧小平氏は1978年に、釣魚島の紛争について「争いを棚上げして、共同で開発する」という構想を打ち出し、日本側も歓迎した。中日双方は全体として、この原則に基づいて釣魚島周辺海域の平和を長期にわたって維持した。1980年代になると、この原則の適用は南海問題の紛争にも拡大された。中国はこの原則が南海にも平和と安定をもたらすと期待している。中国は繰り返し、『南海各方面行為宣言』の枠組みの下で当事国による直接の対話と協議を通じて南海問題を適切に処理することを堅持すると表明してきた。中国はまた、日本など域外諸国に対して、南海問題では言動を慎み、南海問題に介入しないことを望んでいる。