【観察眼】「ボルト・タイフーン」 悪意ある風はどこから吹く?
一連の事実から、「ボルト・タイフーン」とは、米情報機関が国内外に対する監視・浸透・攻撃能力を確保し、政府予算を獲得するために、複数部門と共謀して作り上げたものであることがわかる。彼らは虚偽情報を流布し、「中国脅威」論を煽り立て、中国のネット企業を圧迫している。同時に、その行為は米議会や米国内の納税者に対する詐欺であり、脅迫であるとも言えるだろう。
中国側の統計によると、米政府機関を背景とするハッカー組織による中国の政府、大学、科学研究機関、大企業、重要なインフラに対するサイバー攻撃活動は、2023年5月から現在までの1年余りで4500万件を超えた。これらの攻撃に使われたサイバー兵器のサンプルは米中央情報局(CIA)、国家安全保障局(NSA)、連邦捜査局(FBI)などとの関連を示しており、その攻撃の背景には「第702条」が存在している。
前述したように、「第702条」が米情報機関に与える監視権限の範囲は中国にとどまらず、全世界のネットワークを対象としている。「ボルト・タイフーン」は決して最後ではない。米国は今後も自国の必要に応じて、どこかの国を狙った新たな“台風”を仕掛けてくるだろう。今、スマホやパソコンの前にいるあなたも、そのような“台風”の影響の中にあるのかもしれない。