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【観察眼】窃鈇之疑(せっぷのぎ) 先入観は客観的な判断につながらない

CRIPublished: 2023-12-04 17:55:08
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年末になり、さまざまな経済データが総ざらえをされ、中国経済の衰退を唱える声が再び響いている。最近、日本最大のポータルサイト「ヤフージャパン」で、外資の中国撤退を言いはやすニュースがランキング1位になったことに気づいた。戦争が頻繁に起き、争点が絶えない当面の国際情勢の中で、珍しくも、ホットでもない内容のこうした記事がトップに上がれるというのは、一部の人たちが見たいと期待していたものだからなのだろう。だが、見たいと思っていることが実際に存在することなのか、それには大いに疑問符が付くはずだ。

歴史の長い中国には、多くの故事が伝えられている。その中の「窃鈇之疑(せっぷのぎ)」は、人を疑いの目で見ると、その人のすべてが疑わしく見えるという物語で、先入観を持っていると、客観的事実とは異なって見えることがあるという。物語は2000年以上前の戦国時代の話だ。昔、ある人の家で斧がなくなり、隣人が盗んだのではないかと疑ったが、確証はなかった。この人がひそかに観察したところ、目に見える隣人の歩く姿、顔の表情の変化、話しぶりなど、見れば見るほど斧を盗む人のように見える。そこで彼は隣人を「斧泥棒」と認定した。しばらくして、この人が自分の穴蔵に物を取りに行き、斧がその穴蔵にあることに気づいた。この時から彼の目には、少し前まで斧泥棒のように見えていた人が、いささかも泥棒のような影がなく、まるで別人のように見えた。一部の人々にとって、中国経済に対する見方も、このような罠にはまっているのではないだろうか。

もちろん、読者を説得するには論理を立てていくらかの事実を提示しなければならない。しかし、「窃鈇之疑」の主と同じように、あらかじめ結論を決めて中国経済の衰退を唱えるこれらの文章には共通の特徴がある。すなわち、マイナスの、一方的な内容に焦点を当てることだ。例えば、海外からの中国への投資が前年同期より減少した、中国の今年の経済成長は力に乏しいなどだ。実は、こうしたデータは、別に彼らが言うまでもなく、中国の関連機関の統計データは公開され、透明性を持っている。しかし、物事は一部分だけをみたり、期間だけの比較をしてみても、真相を客観的に反映することは難しい。世界的な視点から、中国の発展を全面的にみるだけの誠意があるか、本当に目を見開いて、真の中国を勇気を持ってみようとしているか。

最近、経済協力開発機構(OECD)やゴールドマン・サックスを含む多くの機関が中国経済への見通しを上方修正している。OECDは38の市場経済国から構成される政府間国際経済組織であり、グローバリゼーションがもたらす経済、社会、政府ガバナンスなどの課題に共同で対応し、グローバリゼーションによるチャンスを把握することを目的としている。もし中国が発表したデータが客観的ではないと疑う人がいるなら、OECDのような国際機関のデータは、信頼に値するはずだ。国際機関という背景があればこそ、世界的な見地に立ち、国ごとの客観的な状況をより全面的に見ることができるだろう。

OECDは最近の報告書で、今年の中国経済の成長見通しを5.2%に上方修正し、中国は今後2年間、依然としてアジア太平洋と世界経済成長の主要な原動力になると示している。また国際通貨基金(IMF)も今年の中国経済の成長見通しを5.4%に上方修正した。JPモルガン・チェース、ゴールドマン・サックス、シティ、UBS、ドイツ銀行、ANZ銀行など多くの金融機関も今年の中国経済の成長予想を5%から5.5%に上方修正している。新型コロナ感染拡大後の回復という紆余曲折を経て、中国は依然として世界経済成長の最大のエンジンであり、2023年の世界経済成長の3分の1に貢献するとみられる。

このような予想に対し、中国外交部の汪文斌報道官は、「われわれは各国の商工業界の友人が引き続き中国に投資し、中国で事業を十分に展開し、中国の質の高い発展とレベルの高い開放がもたらす新たなチャンスを分かち合うことを歓迎する」と表明している。

「窃鈇之疑」、疑うこと自体が恐ろしいのではなく、事実を前にしても考えを修正しようとしないことが恐ろしいのである。中国経済がどうなるのかは、ひたすら中国の衰退を訴える人々ではなく、事実次第だ。

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