【観察眼】戦争で大儲けしているのは誰?
戦争は、ほとんどの国にとっては大きな災いだが、一部の国にとっては願ってもないことである。なぜなら、それによって金儲けができるからだ。
近年、米国によるアジア太平洋地域への武器売却は、件数も頻度も増加している。直近の8月だけでも、米国務省は13日にオーストラリアへのM142高機動ロケット砲システム「ハイマース(HIMARS)」の売却を、23日に中国台湾への戦闘機「F16」向けの赤外線捜索追尾システム(IRST)の売却を、そして28日に日本への空対地長距離巡航ミサイル「JASSM-ER」の売却を承認した。
2018〜2022年までの期間、世界で軍需品購入が最も多かった国家は、日本と韓国であった。両国の同期間の軍需品購入額を2013〜2017年と比べると、日本は171%増加し、韓国は61%増加している。また、オセアニア最大の武器輸入国であるオーストラリアの武器輸入額は、同じく前期比23%増であった。そして、これらの国にとって最大の武器供給元は、ほかならぬ米国だ。
米国は、販売する武器の規制を緩和しつつある。今年、米国が日本とオーストラリアに売却する巡航ミサイル「トマホーク」は、最高射程2500キロを超え、日本に売却するミサイル「JASSM-ER」は射程1000キロ超となっている。しかし、主要7カ国(G7)内で署名された関連文書によると、射程300キロを超えるミサイルは輸出が厳しく制限されているはずだ。つまり、米国が望みさえすれば、このような公式文書や条約などは紙くず同然になるということだ。
武器を購入する意欲がない国に対しては、どうだろうか。米国は、それらの国の武器購入の需要を創出するさまざまな手段を持っている。全体的に平和なアジア太平洋地域に対しては「中国脅威論」を煽り、脅威を喧伝し、同盟国に不安を与えるという一貫した手口で、彼らに大量の軍需品を購入させている。東ヨーロッパでは、米国は情報や武器など、さまざまな面からウクライナを支援し、現地の情勢をかき乱し、ロシアとウクライナの対立を激化させ、ウクライナに米国の武器を購入させようと追い詰めている。2022年、ウクライナが米国から購入した兵器の規模は2021年の45倍となった。また、米国は自国の覇権的地位を利用して、他国に強引に武器を購入させている。例えば、米国は対日貿易赤字縮小と称して、日本政府に米国製兵器の購入を強要したことがある。また、制裁を科すと脅し、インドネシアにロシアからの武器購入計画を取り消させ、米国からの購入に切り替えさせたこともある。
さて、戦争で儲けているのは誰か。その答えは、軍隊、軍需企業、政治家を束ねた巨大な利益集団「米軍産複合体」だ。米誌「ネーション」などの報道によると、米軍需企業大手5社はペンタゴンから年間1500億ドル以上の注文を獲得している。これは、米国防総省予算の20%近くを占める額だ。2023会計年度には、米軍需企業はさらに半分近くの4000億ドルの予算を獲得した。インフラ整備や医療衛生など民生に有益な分野で利用できたはずの大量の資金が、軍需産業に投入されている。
これに対し、米国民の間では「永久に続く戦争こそ、米軍産複合体が望んでいることだ」「米政治家は軍産複合体とその銀行口座に貯蓄することに夢中だ」「私が払った税金が軍産複合体に流れていくのは嫌」などの声が挙がっている。米時事評論家のジミー・ドール[KU1] 氏はテレビ番組で、「米国人の敵は中国でもロシアでもない。軍産複合体だ。羊の毛をむしるように、この国から数千億ドル、数兆ドルを脅し取っている。誰が米国を管理しているのか。答えはこの戦争マシンだ」と話した。
現在、アジア太平洋地域は全体的な平和を維持し、地域経済は着実に回復し、2023年に世界で最も活力のある主要地域になると予想されている。しかし、米国はアジア太平洋の平和的発展の局面を破壊し、この場所を戦火の海、金儲けの道具にしようとしている。米国にとっては、戦争が多ければ多いほど金を儲けられるが、中国には古くから「多く不義を行えば、必ず自ら斃