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【観察眼】大手多国籍企業トップらの相次ぐ訪中から読み取れるもの

CRIPublished: 2023-06-02 11:16:14
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日本メディアが「企業幹部訪中の安全リスク」と騒ぐ中、米国や欧州の大手多国籍企業のトップらが相次いで訪中している。

約3年半ぶりに訪中した、米電気自動車(EV)大手テスラ社の最高経営責任者(CEO)のイーロン・マスク氏は1日に帰国の途についた。マスク氏は滞在中、中国の秦剛国務委員兼外交部長、工業情報化部の金壮龍部長、商務部の王文涛部長など多くの政府関係者や、車載電池大手の寧徳時代(CATL)などの産業界関係者らと相次いで面談を行った。「米中の利益は一体であり、切り離せない関係にある」「テスラ社はデカップリング(切り離し)には反対しており、今後も引き続き中国での業務を拡大し、中国の発展がもたらしたチャンスを分かち合っていく」、これらが、マスク氏が関係者との会談で繰り返して示した姿勢であった。

それもそのはずで、昨年、世界で納車されたテスラ社のEVの半分以上は中国で製造されたものだ。昨年、同社の中国での販売台数は約44万台で、売り上げ全体の実に約22%を占めている。一方、中国のEV市場や消費者にとっては、テスラ社の高品質なEVは選択肢を豊かにしてくれている。まさに互恵ウィンウィンの関係と言える。

マスク氏の訪中に先だって、今年に入り、アップル、メルセデス・ベンツをはじめ、多くの多国籍企業のトップらが相次いで中国を訪れ、中国と良好な関係を維持することの重要性を強調している。今週だけでも、マスク氏の他に、米金融大手のJPモルガン・チェース、世界最大のコーヒーチェーン店のスターバックスのCEOたちも相次いで訪中している。JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモンCEOは31日上海で、「情勢がいくら変化しても、中国で事業を展開し続けていく」と述べ、デカップリングには反対する姿勢を鮮明に打ち出している。スターバックスのラクスマン・ナラシムハンCEOはメディアに対し、「中国の1人当たり年間コーヒー消費量は12杯で、日本の200杯、米国の380杯と比べれば、まだ大きな伸びしろがある。中国がスターバックス最大の市場になることを望んでいる」と述べた。なお、同社は2022年9月に、中国国内での店舗数を現在の6200店から2025年までに9000店に引き上げる目標を掲げている。

秦外交部長がマスク氏と会見した翌日、テスラの株価が上昇し、取引終了時点で前日比4%高を保っていた。マーケットはこの会見に対し、前向きな評価で答えたのだ。

デカップリングよりも協力ウィンウィンを主張する西側の識者やメディアも多い。米経済誌「フォーブス」は5月31日に公式サイトのトップページに掲載した記事で、在中国米国商工会議所のマイケル・ハート代表の話として、「イーロン・マスクCEOの北京訪問は、中国が米国にとって引き続き重要な市場であることを浮き彫りにした」と指摘した。米国の英文ビジネス誌「フォーチュン」は、米国の医薬品や抗生物質の有効成分の約90%、衣料品の40%、電子製品の48%が中国からの輸入に頼っていることを例に、米国が中国経済から得たものは、取って代わることのできないものだと強調した。同日付の独紙「ターゲス・シュピーゲル」は専門家の意見として、ドイツでは約100万人の雇用が対中輸出に依存しており、5500社を超えるドイツ企業が中国で活躍していると指摘し、「世界最大の市場」である中国がドイツの産業にとって「非常に重要である」である一方、中国は直接投資を必要としており、まさしく「ウィンウィンの状況」だと指摘した。

報道によると、米半導体大手エヌビディアのジェンスン・フアン(黄仁勲)創業者兼CEOも6月初めに中国を訪れる予定だ。同社は、米国では最近、時価総額が1兆ドルを超えた5社目の上場会社として注目されている。半導体はバイデン政権が対中「デカップリング」政策を最も集中的に体現している分野であるだけに、フアン氏の訪中は世界から注目されるだろうともみられている。フアン氏は訪中に先立ち、米国の対中半導体輸出規制に関するメディアの質問に対し、「中国企業のキャッチアップ能力を過小評価してはならない」と警告した。そのうえで、「米国は対中貿易政策では慎重に対処すべきだ」とし、「いざ中国大陸の市場を失った場合、それに対応する計画は持っていない。中国は一つしかないのだ」と注意を促した。

日本関連の動きで言うと、日本政府は5月23日に23種類の半導体製造装置を対象として、輸出管理措置を正式に打ち出している。フアン氏の焦りは恐らく、多くの日本の関係者にも共有されている懸念事項でもあるのではないだろうか。

G7広島サミットの後、米国の関係筋の中国との経済関係についての言葉遣いには微妙な変化が見られ、「デカップリング

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