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【観察眼】日本首相のアフリカ歴訪の「願望リスト」は実現できるのか

CRIPublished: 2023-05-08 14:00:49
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日本の岸田文雄首相は4月29日から5月5日まで、就任後初となるアフリカ歴訪を行った。7日間の日程でエジプト、ガーナ、ケニア、モザンビークの4カ国を歴訪した。

このアフリカ歴訪の第一の目標は、アフリカ諸国の支持を獲得し、G7広島サミットを成功させるための布石を打つことにある。日本経済新聞の記事でも、「日本は今年のG7サミットの議長国であり、岸田首相は今回のアフリカ歴訪で、5月19日の広島サミット前の関係拡大に向けて弾みをつける意向だ」と指摘されている。今回の訪問はG7サミットに向けた「仲間集め」だけでなく、岸田首相の米国の対アフリカ戦略への協力の意図が鮮明になっているとの見方もある。

アメリカのバイデン政権は2022年8月にアフリカ大陸に対する新戦略を打ち出し、2022年12月にはワシントンで米国・アフリカサミットを開催した。過去10年間で、米政府は2012年のオバマ時代の対アフリカ戦略、2018年のトランプ時代の対アフリカ戦略、そして現在のバイデン政権の対アフリカ戦略の3つの対アフリカ戦略を発表してきた。新戦略とバイデン政権の対アフリカ政策措置を結びつけると、中国とロシアをアフリカにおける最大の戦略的競争相手と位置付けることが、米国の対アフリカ外交の傾向であり特徴であることがわかる。日本のアフリカ政策は米国の対アフリカ戦略の枠組みから逸脱するものではなく、岸田首相の今回の訪問は米国指導者のアフリカ訪問の流れを引き継ぎ、経済援助や人材育成、インフラ整備などを通じて、中ロなどの影響力を相殺しようとする狙いがあるとの分析もある。

岸田首相のエジプト訪問中、日本政府はカイロの地下鉄建設に1000億円(約51億人民元)を限度とする円借款に調印した。また、岸田氏は日系企業のアフリカや中東への事業拡大を積極的に支援することを約束し、日本がアフリカの「共に成長するパートナー」であるとアフリカに示すことに意欲をみせた。アフリカでの影響力を競うため、岸田首相はこれまで何度もいわゆる「中国の債務の罠」をあおり立て、日本との協力は「強靭なアフリカ」の実現を助けるものであり、中国のやり方とは「異なる」と主張してきた。

だが、米国防省系のシンクタンク・アフリカ戦略研究センターのデータによると、日本とアフリカの貿易額は年間約240億ドルであるのに対し、中国とアフリカの貿易額はその10倍以上だ。また、中国税関総署が最新に発表したデータによると、2022年1~12月の中国とアフリカ諸国の輸出入額は約2718億ドルで、前年同期比で14.5%増加している。アフリカ経済の回復を後押しするため、中国はアフリカ商品、特に非資源類の輸入を拡大し続けている。中国はアフリカの農産物輸出先第2位であり、近年のアフリカの対中農産物輸出の年平均伸び率は11.4%に達している。

実は、日本のメディアでも岸田首相の努力に懐疑的な見方があり、今回のアフリカ歴訪によって、ウクライナ問題や中ロ封じ込めに関して、岸田首相の思惑が果たされる可能性は低いとしている。なぜなら、ウクライナ問題については、アフリカ諸国の多くが中立的な立場をとっているからだ。そして、中国やロシアとの関係においても、アフリカ諸国は独自の判断と選択肢をもっている。

日本はこれまで、G7における日本の発言力を高めるために、幅広い途上国と西側先進国との架け橋となることを望んできた。日本はアフリカの立場と懸念を真に理解し、支持することができるだろうか。それとも、米国に追随した対アフリカ戦略をとり、米国に代わってアフリカ諸国にG7グループか中ロかの二者択一を求めるのだろうか。もし、日本が不純な目的で脅迫的な外交活動を行うならば、決して成功することはないだろう。

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