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【観察眼】コロナ対策最適化措置「二十条」の伝えるメッセージとは?

CRIPublished: 2022-11-14 20:35:55
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中国政府は先週末、二次接触者、中リスク地区の撤廃および国際旅客便に適用していた「メルトダウン」という運行停止基準の撤廃、入国者の集中隔離期間の短縮などを含む「感染予防・抑制活動をさらに最適化する二十項目の措置(以下「二十条」)」を発表し、世界から注目を集めた。多くの海外メディアは、これが中国のコロナ対策の終焉を意味するものかということに着目して、さまざまな推測をしていた。中には、中国の感染対策に対して誤った判断をしたものもある。ここでは主に2つの着眼点から説明をさせてもらう。

まずは、「動的ゼロコロナ(中国語:「動態清零」)」について。これは中国が行う感染予防・抑制対策の全体的方針だが、西側メディアでは、なぜかこれが「ゼロコロナ」あるいは「ゼロ容認政策」などと訳されている。日本のメディアを含めて、「動的コロナ」は「Withコロナ」と相いれない、異質的な考え方としてとらえ、中国の経済社会の運営、ひいてはグローバルサプライチェーンの正常な稼働に影響を与える「悪の根源」とみなしている。しかし、ここで指摘したいのは、「Withコロナ」は一部の西側諸国では、事実上の対策放棄を意味するものであったのに対し、むしろ中国の「動的ゼロコロナ」こそが「Withコロナ」に対する中国流儀の解決策を提出したものであるということだ。中国疾病管理センターの疫学首席専門家・呉尊友氏も指摘しているように、「動的ゼロコロナ」は「感染ゼロ」や「ゼロ容認」と本質的に異なるもので、その要は早期発見と迅速な感染経路の遮断にあり、最小のコストで最大の社会的効果を得ることにある。西側メディアから省略された「動的」という言葉の意味はまさにそこにあることを指摘したい。

次に、「中国はコロナ感染拡大の最初の2年間は優れた対応をしたため、その成功体験に引きずられ、オミクロン株の特徴を顧みずに過度な予防抑制策を続けている」という解釈についてである。

この点については、まずは中国衛生健康委員会の関係者が先週の記者会見で述べたものを引用してみたい。

「オミクロン株が2021年11月11日に初めて特定されて以来、これまで約400種類の変異株が発見されている。しかしいずれも量的変異に過ぎず、質的な変化は観測されていない。感染力、免疫から逃避して増殖する力が著しく高まってきたと同時に、平均潜伏期間が短縮され、現在は3日未満となっている。また、症状も比較的軽く、重症者や死亡率も比較的低い」

以上の表現から分かるように、中国の疫学専門家や政府関係者はオミクロン株の特徴について、世界と同じ認識をしている。もちろん、これは中国政府の当局者が科学的な予防・抑制プランを制定する出発点でもある。

しかし、中国には決して無視できないデータもある。香港で今年上半期に発生したオミクロン株感染の統計データによると、死者の96%が60歳以上で、71%が80歳以上の高齢者だった。一方、中国衛生健康委員会の最新発表によると、2022年11月11日現在、中国大陸部では60歳以上の高齢者の全行程接種率は86.38%で、80歳以上だと65.7%にとどまっている。さらに、人口14億人の中国では、千人当たりの病床数がようやく6.7床に達したばかりで、人口10万人当たりの重症病床数は4床にも満たない。上海復旦大学の余宏傑教授のチームは今年5月10日、国際的な医学誌「Nature Medicine」に論文を発表し、「モデリング研究の結果、中国が現在の動的ゼロコロナ政策を撤廃すれば、オミクロン株の大規模感染により、最大で約155万人の死者が出る可能性がある。集中治療(ICU)の必要数も既存病床数の15.6倍に上昇する」と指摘している。実際にそのようなことになれば、「生命第一、人民第一」を唱え続けている中国にとっては、耐えられない深刻な事態になる。

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