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【観察眼】包装は簡易化しても想いは変わらずグリーン理念深く浸透

CRIPublished: 2022-09-10 16:45:16
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「海上生明月、天涯共此時」(海上に明月生じ、天涯此の時を共にす)。今日は旧暦8月15日で、中国の伝統的な祝日である中秋節。団らんを意味する日で、人々はこの日が来ると親戚や友人を訪ね、月餅を食べたり月見をしたりしながら、共に楽しく時を過ごす風習がある。

中秋節の食べ物として、丸い月餅は一家団らんを象徴し、家族への思い、さらには中国の優れた伝統文化の豊かさが詰まっている。しかしここ数年、非常に高額な月餅が数多く現れるようになり、一部の業者は暴利を得るため、「五仁」(5種類の木の実)や小豆餡といった伝統的な具材の代わりに、アワビやロブスター、ナマコなどの貴重な食材を使い、シンプルで質素だったパッケージも、豪華で何重にも包装されたものになっている。これは資源の浪費につながるだけでなく、グリーン・環境保護の理念にも反しており、人々を戸惑わせている。

過剰包装や貴重な具材にかかるコストは消費者が負担することになる。この問題を受け、中国では、月餅を「高価な贈答品」から「季節の食べ物」という本質へと回帰させるため、近年多くの政策が打ち出されている。今年5月、中国市場監督管理総局は商品の過剰包装の制限に関する要求を発表した。この要求は包装が何重までで、どのような材料で作るかなど、詳細に規定している。たとえば、月餅とちまきの包装については3重以下とし、包装の体積を42%削減するように求めている。また、販売価格が100元(約2000円)以上の月餅とちまきは、包装コストが販売価格に占める割合を15%に下げる。さらに、月餅は他の製品と混載しないこと、包装材料に貴金属や、マホガニーなどの高級木材を使用しないことといった一連の政策は消費者から支持を得ている。

近年、中国では環境に配慮した消費(グリーン消費)の理念が浸透しつつあり、多くの消費者が環境保護への取り組みを積極的に実践している。中国のフードデリバリー業界大手の「美団」は、2017年に「食器(割り箸やプラスチックスプーンなど)不要」サービスを開始し、この5年間で2億人以上が同サービスを選んでおり、「食器不要」の注文が占める割合は約40倍増加した。また、美団は上海市、アモイ市、青島市、蘇州市などの1500を超える自治体と公的機関で、大規模なゴミ分別と弁当箱回収プロジェクトを展開しており、これまでにプラスチック製弁当箱を2億2000万個回収し、それによって7000トン以上の炭素排出を削減した。回収されたプラスチック製の弁当箱は自転車のフェンダーや携帯電話ケース、キーホルダーなどに再生されている。

交通の面では、新エネルギー車が多くの消費者から人気を博している。中国自動車工業協会の最新統計によると、今年1〜7月、中国の新エネ車の生産は327万9000台、販売は319万4000台に達し、前年同期比でいずれも1.2倍増となった。2020年7月以降、25カ月連続でプラス成長を続けている。政策によるサポートでは、中国商務部など17の政府機関が共同で、農村での新エネ車の普及推進や、充電の利便性向上に向けたインフラ整備の加速などの措置を打ち出し、消費者の新エネ車の購入と利用を後押ししている。

中国人にとって、美食には色、香り、味だけでなく、豊かな文化的意味も込められている。月餅のパッケージは「スリム化」されても、人と人との友情も、団らんを楽しむ雰囲気も変わることはなく、低炭素、環境保護への信念もいっそう強くなっている。

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