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【観察眼】風習のポジティブな大転換グリーンな墓参りで“清明”な環境実現へ

CRIPublished: 2022-04-06 19:45:07
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今年は4月5日が清明節で、3日から5日までが清明節連休であった。中国の人々はこの時期に墓参りをして故人を偲ぶ。この放送局の近くには中国有数の墓地の一つ、八宝山人民公墓があり、例年のこの時期はいつも大勢が集まる。

それが今年、思ったほどの混雑が見られなかった背景にはもちろんコロナ禍がある。政府が密集を避けるよう呼びかけている影響は大きい。しかし、それだけでなく、もう一つの大きな理由がある。それは、「環境にやさしいお供え」や「オンライン墓参り」といった新たな風潮が生まれていることだ。

清明節の風習には、紙銭を燃やして供え物としたり、爆竹を鳴らして故人を呼んだりといったものがある。いずれも、歴史と文化に裏打ちされた伝統的な行いだ。しかし、こうした火や火薬を用いた大規模な風習は、環境破壊につながるのではという声もあった。伝統と現実とを天秤にかけた議論はかねてより行われてきた。結果として、近年は「文明的な墓参り」と称して、低炭素で環境にやさしい追悼方法の普及が進んでいる。大切なのは形式ではなく、気持ちなのだという考えが浸透しつつある。

さらに一歩進んだ取り組みもある。今年の清明節期間に、中国西部・陝西省渭南市の柳枝鎮では「植樹で先祖を偲ぼう」というイベントが行われた。村人に柏の苗木が無料配布され、植樹の方法も指導された。故人を偲ぶ方法を、「資源を燃やす」ことから「資源を増やす」ことへと転換しようという、まさに新時代にふさわしい取り組みと言えよう。

もう一つの「オンライン墓参り」はコロナ禍で脚光を浴びたが、実際にはそれ以前から推進されていた。「オンライン」と聞くと、伝統を重んじる人々には味気なく思えてしまうかもしれないが、オンラインだからこそできるようになったこともある。

今年、中国南部の江西省豊城市と広西チワン族自治区龍州県が共同での取り組みとして、龍州県の烈士霊園(烈士とは、革命や戦争、国の建設事業などに命を捧げた人々のこと)に埋葬されている豊城籍の烈士たちの「オンライン納骨堂」を開設した。龍州県に来なくとも、そこに祭られた烈士を豊城市の親族が参拝できるようにとの計らいだ。

また、南部・広東省広州市の墓地13カ所では、墓参りに来られない家族に代わって、墓地のスタッフたちが墓碑を拭いたり花束を供えたりした。天津市第二葬儀館では「供養代行サービス」として、献花や追悼の言葉の代読などを無料で行った。

中国民政部の統計によると、今年の清明節連休3日間に全国の墓地が受け入れた参拝者は延べ1754万人で、前年同期比74%減少した。一方で、ネット上に開設されている全2304の特設サイトでオンライン墓参りをした人の数は延べ2156万人で、前年同期比192%増加した。オンライン墓参りの普及を物語る数字だ。

伝統を変えることは容易ではない。様々な立場の人々の長期にわたる努力が必要である。中国は2020年9月の第75回国連総会において、「より力強い政策と措置を講じて、2030年までに二酸化炭素排出量のピークアウトを、2060年までにはカーボンニュートラルを目指す」と宣言した。これは口先だけではない。伝統をも変えようという、覚悟の伴った言葉だ。

1980年代から現在までに、世界で新たに緑化が進んだ面積のうち、実に4分の1が中国の貢献によるものだ。先の北京冬季オリンピックでは、競技施設の100%クリーン電力利用も実現させた。そして、今回紹介した環境にやさしいお供えや墓参りなど、伝統のポジティブな転換も進んでいる。中国は、低炭素と環境保全の道で、着実な歩みを進めている。

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