【CRI時評】欧州はEV紛争で最後の「窓がまだ開いている期間」を逃してはならない
欧州委員会は現地時間20日、中国製電気自動車(EV)に対する補助金関連の調査の最終判断の草案を公表し、中国および欧州連合(EU)系の企業が中国で生産したEVに対して、5年間にわたり17%から36.3%の相殺関税を課すことを提案した。
欧州側は今回、7月に発表された当初判断の結果と比べて、中国の自動車企業数社に対する課税率をわずかに引き下げた。欧州側はある程度の譲歩と妥協をしたかのように見えるが象徴的なものであり、WTOルールの手続きの乱用、調査ツールの武器化、「公正な競争」の名の下に公正な競争を破壊する本質は変わっていない。
実際には、欧州委員会が昨年10月に中国製EVに対する補助金関連の調査を開始すると決定して以来、欧州側の一連の行動には正当性や合法性が欠けていた。まず、欧州の産業界からの申請がない状態で自発的に開始されたいわゆる「調査」は、市場の意向に明らかに反していた。さらに、欧州委員会は事前に設定した目標を達成するために、中国にはいわゆる「補助金プロジェクト」が存在するとの話を作り上げ、誇張し、輸出量の多い米国や欧州企業を除外して中国本土の企業だけを標的にした。
欧州の一部政治家がどのような動機で中国のEV産業を抑圧しようとしているかは別にして、確かなことは、彼らのやり方は他者を害して自らをも傷つけるものであり、欧州の政界や経済界の広範な批判を招いたことだ。ドイツのショルツ首相などの指導者は、自動車貿易の制限に公然と反対し、「公正で自由な」貿易を維持するよう呼びかけた。英『タイムズ』などのメディアは、欧州連合(EU)が消費者にEVへの転換を求める一方で、費用対効果のよいEVの供給を妨げようとすることは、滑稽で馬鹿げていると指摘した。
ここ数年、欧州の経済成長は全体として鈍化している。欧州の一部国家は、エネルギー転換の需要や経済成長の促進を考えて、中国の自動車企業による投資や工場建設を積極的に誘致している。イタリアのメローニ首相が最近になり訪中した際にも、双方が新エネルギー自動車分野での協力を推進することが主要な議題の一つだった。
しかし、自国の利益と欧州全体の利益のバランスを取る中で、「歪んだ論理」が生まれた。欧州の一部の国は、EUが高関税を課すことで、中国の自動車企業が自国に工場を建設し、それによって欧州の自動車産業を発展させ、地元の雇用を増やすことを期待している。しかし実際には、その期待は裏切られる可能性が高い。考えてみればよい。EUが貿易保護ツールを乱用し、中国と欧州の協力の大局が悪化した場合、中国の自動車企業が欧州市場の開拓に懐疑的にならないことがあるだろうか。
欧州側のスケジュールによれば、最終決定案公開後の意見募集の段階を経て、欧州委員会は最終決定を各加盟国に提出し、11月4日までに最終判断を下す予定だ。