【CRI時評】「毒列車」より恐ろしい米政治の毒霧
今から1カ月前、米オハイオ州で列車脱線により有毒な化学物質が流出する事故が起き、災害級の悪影響が現れている。地元では気管支炎や他の疾病と診断される人がますます増えている。事故現場周辺では、汚染された水により4万4000近い数の動物が死亡した。「毒列車」脱線事故の影響は他州にも広がっている。
環境安全保障へのこれほどまでに深刻な脅威に対し、米政治家の最初の反応は責任転嫁だ。オハイオ州での「毒列車」事件は米民主・共和両党の党争の新たな議題になりつつある。
共和党は、災害状況に無関心だと現政権を攻撃し、大統領がオハイオ州の住民を見舞うよりもキーウ訪問を優先したとして、事故が起きたイーストパレスタインへのタイムリーな支援の欠如をウクライナへの気前がよい支援と比較して批判した。一方、民主党は、前政権が鉄道会社のロビー活動により鉄道での危険物の輸送規制を緩和したことについて、「すべて(共和党所属の大統領前任者である)トランプ氏の過ち」だと非難した。共和党支持者は「大統領は当初、米連邦緊急事態管理局の調査団を被災地に派遣することさえ拒否し、前大統領が現地に入ると聞いて慌てて調査に乗り出した」と反論した。
民衆の健康に無関心な一方で、責任のなすりつけ合いで忙しい。米国式民主主義が機能不全となる中、政治家の眼中にあるのは私利と実のないパフォーマンスであり、民衆の焦りや困難、苦しみを解決し、希望に応える意思は全くないことを、外部に一層知らしめている。
地球上で最も強大な国の民衆である米国人の境遇は、世界に悲しみや哀れみを生じさせずにはいられない。特に被災地の民衆が他国のメディアにまでも関心を持つよう求めていることは、米政治家に対する極めて大きな風刺であり、米政治家が口にする「人権」に対する極めて大きなやゆだ。
より深い面から見ると、米国で年間1700回も脱線事故が起きていることは、米政治家があがめ尊ぶ自由資本主義の発展モデルと政治環境に巨大な問題が出現したことを十分過ぎるほど物語っている。党争が激化し、「民主主義」が機能不全になる中、米国人は最も基本となる健康と安全さえも置き場所をなくしている。