雑誌『咬文嚼字』が選んだ2021年の流行語ベスト10
上海文化出版社が発行する月刊誌『咬文嚼字』の編集部が毎年12月初めごろにその年の流行語ベスト10を選出します。
この雑誌の名前、「咬文嚼字」は成語で、元々は文字の見た目や言葉の飾り方にばかりこだわって、内容や意味がない文章のこと。そこから、学識を自慢するだけで、実際には役に立つことがない知識人を揶揄するときに使うことの多い言葉です。
言語関連の雑誌名にするのは、ことばに対する厳しい姿勢を表すためかもしれません。
そんな『咬文嚼字』雑誌社が流行語を選ぶうえで考慮したのは、社会的価値と言語学上の価値の両方だということです。
そのうえで、いったいどのような言葉がベスト10に選ばれたのか、見てみましょう。
No.1百年未有之大变局
過去100年になかった大変局という意味。
100年に一度の大変局と意訳してもいいでしょう。
2017年12月、習近平国家主席はある談話で「世界に目を向けると、われわれは過去100年になかった大変局に直面している」と言及しました。
中国共産党は1921年から2021年まで、百年間の奮闘を行ってきました。その結果、中国人民の暮らしや運命は大きく変わり、それは世界にも影響を与えました。
いま中国は、さらなる発展という未曾有のチャンスと試練とに直面しています。
No.2小康
いくらかゆとりがある状態。
誰もが「いくらかゆとりのある生活」を手にした社会、「小康社会」は、中国人が追い続けてきた憧れです。その実現のために最低限クリアしなければならない任務が、貧困からの脱却でした。
目標達成のために、中国はターゲットをしぼった貧困者支援を続け、衣食の憂いがなく、義務教育と基本医療、住宅の安全が保障された状態という事業目標を掲げ、上から下まで心を一つにし、人類史上最大の規模と総力で貧困脱却という難関の攻略に取り組んできましした。
その成果として、国連の2030アジェンダを10年繰り上げて実現しました。
No.3赶考
そもそもは科挙試験を受けるということ。転じて、力試しという意味でも使われます。
中華人民共和国の成立前、時の毛沢東主席は、中国共産党中央の総本部があった河北省石家荘市平山県西柏坡から北京へ向かう際、「今日は『力試し』のために北京に行く日」だと、全党員を激励しました。
そして現代、この西柏坡を習近平国家主席が視察した際に、「『力試し』はまだまだ終わっていない」と語りました。
また、中国共産党創立100周年記念式典で、習主席は、「中国共産党は今、団結して、中国人民が『2つ目の百年の奮闘目標』を達成するための、新たに実力を試される道のりを歩み出した」と再び強調しました。
No.4双减
義務教育を受ける子どもたちの、宿題と学外教育の2つの負担を軽減する政策のこと。
No.5碳达峰,碳中和
CO2排出のピークアウトとカーボンニュートラルを指します。
No.6野性消费
非理性的な消費行動、つまり衝動買いという意味。
昨年7月20日に河南省で洪水が発生したことを受けて、被災地には全国各地から義捐金や義捐物資が届けらました。その中で、あるスポーツ用品メーカーは被災地に5000万元(約8億5000万円)を寄付したことで非常に大きな注目を集めました。注目の理由は、このメーカーに赤字倒産のうわさが流れていたためでした。
これに感動した人々が翌日から会社の公式ライブ配信ルームや店舗に殺到、商品は売れに売れて、在庫が無くなるのではという勢いでした。
No.7破防
ガードブレイク、ネット上では精神的な衝撃や感動を受けたときに使われています。
No.8鸡娃
「鸡娃」というのは、わが子にやる気を注ぐことを指します。ここでは「鸡」は動詞化して、励ます、激励するという意味になっています。
この言葉が生まれた背景には、子どもの教育に対する親の焦りがあります。一部エリート志向の親御さんの多くは、我が子に「スタートラインで負けさせない」ように、フライングまでさせて前に進ませようと、金銭と時間を惜しむことなく塾などに通わせました。
No.9躺平
横たわる、寝そべるという意味。
No.10元宇宙
メタバースの中国語訳。