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朱亦兵~チェロの世界

CRIPublished: 2021-04-16 17:44:00
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4月初め、中国音楽家協会学会成立音楽会が北京音楽ホールで開かれ、中国音楽界の多くの名演奏家たちが競演し、特にチェロ奏者・朱亦兵の素晴らしいパフォーマンスは多くの観客を感動させました。今回の中国メロディ―は中国の名チェロ奏者・朱亦兵の音楽世界と音楽作品をお楽しみいただきましょう。

欧州音楽界で最年少のチェロ首席奏者

音楽一家に生まれた朱亦兵は、幼い頃から「音楽の神童」と呼ばれ、8歳からチェロを父に学び、17歳でフランスパリ国立高等音楽院に合格し、世界的名チェロ奏者モーリス・ジャンドロンの門下生となりました。1986年、朱亦兵はパリ国立高等音楽院を首席で卒業。23歳でスイス・バーゼル交響楽団の首席チェロ奏者に就任し、当時は欧州音楽界で最年少のチェロ首席奏者でした。

パリに留学していた時、朱亦兵は優れた音楽の才能を持っていましたが、音楽の勉強は上の空で、チェロの練習よりもゲームをする時間が多い日々を送っていました。恩師のモーリス・ジャンドロンは彼に、「チェロの弾き方を学びに来るならそれでもいい。しかし、われわれは一緒に心から音楽について話し合うことができる」と言ったことがあります。しかし彼はその時、恩師の言葉の意味を理解していませんでした。

技巧は重要ではなく、音楽こそ出発点であり終結点である

朱亦兵が音楽について真剣に考え始めたのは、ドイツの大学生たちがきっかけでした。朱亦兵がドイツ大学生楽団の指揮者を務めていた時、学生たちがシューマン交響曲のゲーテの詩に対する体験を交流しているのを耳にしました。その時、彼は教える側として学生たちの交流について何も知らないことに気付きました。朱亦兵は言いました。「私は交響曲を美しく演奏して学生たちを感嘆させられたが、彼らは音楽の背景や文化をよく知っている。私は彼らの音楽や芸術に対する心からの愛に深く感動した」。

朱亦兵は演奏の技巧がどうであるかは重要ではなく、音楽こそが出発点であり終結点でもあることに気づき始めたのです。朱亦兵は帰国して中国の子供たちに何かを持って帰りたいと考えるようになりました。

教育は人々の目の中に光を放つこと

2004年、38歳の朱亦兵はスイスのバーゼル交響楽団で年俸100万ドルという首席チェロの仕事を辞めて祖国に戻り、中央音楽大学の教授になりました。彼はよく学生を教室の外へ連れ出し、自然の中で猫や鳥の鳴き声を聞いて、心で感じるよう教えています。朱亦兵は練習時間の長さが重要ではなく、心で練習するかどうかがカギだと考えています。彼は「教育とは人々の目の中に光を放つことである。目の中に光がある人は引き続き光を保ち、目の中に光がない人は光を放ってやることだ」と言っています。

現在55歳の朱亦兵は授業のほか、中国初のチェロ重奏楽団を設立し、500回以上の公益公演を行っています。この楽団は学校や劇場のほか、工場や校庭、職場、農地、さらには刑務所まで訪れ、受刑者のための公益コンサートなども行い、音楽の光で多くの人の心を照らしたいと考えています。

番組の中でお送りした曲

1曲目心中的他

この曲は映画「帰来(妻への家路」のサウンドトラックです。映画は文化大革命を題材とし、主人公焉識と妻の婉玉の哀しいラブストーリーを描いています。世界的なピアニスト・ランランの優しいピアノの音色と朱亦兵の深みのあるチェロの柔らかさが響き合い、遠く離れた夫を黙々と思う妻の深い愛情を生き生きと表現しています。

2曲目毕业照

このチェロ曲は映画「匆匆那年(君といた日々)」の最後に流れる曲です。「君といた日々」は今時の若者の学生生活を描いた恋愛映画です。この「卒業写真」という曲は青春の時間を記録した写真のように、美しい時間が二度と戻ってこないことを予言しているようで、限りなく感傷的です。

3曲目北風吹

この曲は朱亦兵とバイオリンの大家盛中国、呂思清など中国のトップレベルの音楽家たちが共演したものです。貧しいながらも、農村の娘喜児と父親が、暖かくて幸せな生活にあこがれる気持ちでいっぱいなことを表現しました。

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