「銀の喉」を持つ歌手・姚莉

このほど、「得不到的愛情（得難い愛）」という歌が多くの音楽アプリの人気おすすめランキングに上り、先月、中国の人気バラエティ番組「乗風破浪的姐姐（波風に乗った女性たち）」の中で4人の女性タレントグループに歌われ、そのレトロリズム感あるメロディーが人気となりました。「得不到的愛情（得難い愛）」は1940年代の人気歌手・姚莉が歌った曲で、彼女が歌った上海を中心に流行した30－40年代の歌は今も歌い継がれ、時代を超えた名曲となっています。今回の中国メロディーはそんな姚莉の音楽作品を楽しみながら、1930、40年代の上海の繁栄と輝きを振り返りましょう。

40年代の上海音楽界の歌姫であった姚莉、逝去

1930年代、40年代、「東方のパリ」と呼ばれる上海の舞台で多くのスターが活躍し、「金の喉」を持つ歌手と呼ばれる周センや美貌と美声を兼ね備えた李香蘭らはみなきらきらと輝いていました。その中で姚莉は人並み外れた美しさは持っていないものの、素晴らしい歌唱力で音楽の舞台に華を咲かせました。

彼女の「玫瑰玫瑰我愛你（バラの花よ、愛してる）」は1940年代に上海だけでなく、中国全土で大ヒットしました。この歌では姚莉の明るく広い音域と素晴らしいリズム感が不思議な魅力を見せています。50年代の米国の人気歌手・フランキー・レインもこの歌の英語バージョンをカバーし、全米流行歌ランキングの3位に入りました。

2019年、96歳の姚莉は香港で亡くなりました。唯一健在だった1940年代の上海音楽界の歌姫であった彼女の逝去は、あの時代の音楽に終止符を打ったと言えるかもしれません。

「銀の喉」を持つ歌手・姚莉

姚莉は1922年に生まれ、家は貧乏でしたが、小さい頃から歌の才能に恵まれ、上海の舞台で活躍してきました。13歳の時、彼女の才能はレコード会社に発掘され、最初のレコードをリリースし、一躍人気になりました。その後も、彼女がリリースするレコードの多くは人気が高く、ようやく競争激しい上海芸能界で確固たる地位を築きました。

姚莉の音楽の道には兄の姚敏の存在が欠かせません。姚敏は独学で作曲した、「情人的眼涙（恋人の涙）」、「春風吻上我的脸（春風の口づけ）」など多くの名曲を創作しました。一方、妹の姚莉の素晴らしい歌唱力は兄の作品に生命と活力を注ぎました。こうして兄の助けの下、姚莉は「金の喉」を持つ歌手・周センに次ぐ「銀の喉」を持つ歌手となりました。

音楽界の常緑樹・姚莉ファンの心に生き続ける

1950年、香港に移住した後、喉の病で姚莉はショックを受けます。しかし、この時、彼女はアメリカのプッポ音楽からインスピレーションを受け、今までの活発で可愛い歌声から、まろやかで女性っぽい声色に変え、自分のスタイルを形成しました。

1960年代、兄の姚敏が亡くなった後、姚莉は歌手の引退を正式に発表しました。その後は舞台裏の仕事に転じて、テレサ・テンら若手歌手をバックアップし、若者からの尊敬を博しました。音楽の舞台で30年間活躍した中華圏の常緑樹歌手として姚莉は多くの名曲を残しています。彼女は亡くなりましたが、彼女の美しい歌声は何時までも人々の心に残っています。

番組の中でお送りした曲

1曲目玫瑰玫瑰我爱你

バラの花は最も美しく

バラの花は最も鮮やかだ

長い夏の日枝に咲く

バラの花よ愛してる

2曲目春風吻上我的脸

春風が私の顔にキスしてくれて

春が来たと教えてくれた

春の景色は美しいが

こんな春の景色が瞬く間に消え去るのがこわくて

この景色がまだ残るうちに

朝早く起きて春に出会おう

3曲目站在高崗上

歌詞：

連なる青山は百里の長さよ

彼は高い丘に立ちあの子を待っている

青々とした山々が空高く聳えて

恋人はそこに佇んでいる

あの高い丘から遠くを眺めると

あの緑一面の山々はまるで波のようだ

あなたは高い丘に立って遠くを眺め

誰の歌う声を聴いているのか？