「日中はもっと良い関係が築ける」を出発点に~渋沢健さんに聞く
人間には「イマジネーション」の力があります。現状ではできていないが、イマジネーションを生かして、時々飛躍して現実をつなげることができる。関係なさそうなものを合わせて、新しい価値を作る。この“と”という人間にしかできない人間力を使えば、時代がどのように変化しても、その変化に適応することができる。その一歩、二歩先に歩むイノベーションを起こすことができると思います。これは、他の動物はできないし、現状のAIもできない、人間にしかできないことです。これこそが渋沢栄一の『論語と算盤』のエッセンスです。
渋沢健さんの講演会から
――ところで、渋沢健さんは中国を訪問したことはありますか。
はい。北京、上海、重慶、武漢などを訪問したことがあります。
――実体験した中国の感想は?
プレスで見る日中関係というのは、お互いがお互いの国に行ったことのない人が色々言っているような感じがしています。中国もそうですし、アフリカへ行ってもそうですし、アメリカに行ってもそうですし、どの国にもそれなりにいろんな人たちがいて、そこの生活がある。より良い、豊かな生活ややりたいことを求める人が、圧倒的に多いんですけど。それがいろんな道理を外しているために、ちょっと複雑な関係ができてしまっているということは残念だなと思います。
――最後に、渋沢栄一の『論語と算盤』から新たな時代の日中関係にとってのヒントをどのようにお考えですか。
自分がやってほしくないことを相手にやるべきではありませんし、自分がやってほしいことを相手にするということが人間関係の基本だと思います。そういう意味では、日中を、国境や政府などの切り口ではなくて、人間と人間が会った時の付き合いをしてほしい。別にそこに大きな障壁はないと思っています。それが、渋沢栄一の100年以上も前からのメッセージですし、何千年前から同じようなこと言っている人もたくさんいたと思うんですよね。
国境などの枠に囲まれて生活している我々ですが、枠の向こう側の景色がどうなっているんだろうね、という好奇心さえ失せてしまうと、良いことは起こらないと思います。それは相手にとっても、自分たちにとっても同じです。
だから、自分が相手の立場になった時に、という考え方が必要だと思います。しかし、自分は相手ではないので、「相手の立場」というのは頭の中のイマジネーションを使うしかないと思うんですよね。日中はいろんなとこでいろんな課題がありながら、もっといい関係が築けるでしょう、というところがスターティングポイント(出発点)なんじゃないのかなと思っています。
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