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政府活動報告からみる2023年の中国経済見通し~対外経済貿易大学・西村友作教授に聞く

CRIPublished: 2023-03-14 17:18:52
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――今年の政府活動報告の中では、「外資の誘致と利用」が強調されています。日本サイドでは、このメッセージをどう受け止めているのでしょうか。

外資に関する項目では、昨年の「外資を積極的に利用する」から、今年は「外資の誘致・利用にいっそう力を入れる」とさらに表現を強くしています。特に、「誘致」という言葉を用いており、積極的に中国への投資を促そうという姿勢が見て取れます。

報告の中で李克強総理が述べている通り、中国市場の拡大は外資企業に大きなチャンスであることは間違いありません。その一方で、外資企業は中国市場に活力を与え、中国が目指す質の高い発展に寄与するというのも事実です。

多くの日本企業が、自国の隣にこれだけ巨大で魅力的な市場があるという事はしっかりと認識していると思います。足もとで日本からの出張者が増えているという話も聞いていますので、日本の産業界も、コロナ後の中国経済に期待しているのだろうと思います。

2023年1月、江蘇省南通市に進出した外資企業で技術開発の状況を視察する地元政府関係者

■中国発のイノベーションは世界経済にも大きなプラス

――最後に、今後の中国経済の成り行きについて、5年あるいは10年スパンでとらえた場合の評価をお願いします。

今後の中国経済を見ていくうえで重要なのが「質の高い発展」です。昨年開催された中国共産党第20回党大会の演説で、習近平総書記は「質の高い発展は社会主義現代化国家の全面的建設の最重要任務である」と、この「質の高い発展」の重要性を強調しています。

つまり、これまでの「規模」を追い求める発展を改め、イノベーションを根本的な原動力とした、質の高い発展を目指す方向へと進んでいくと考えられます。

中国で生まれるイノベーションは、当然、世界経済にとっても大きなプラスとなります。特に、デジタル分野における中国のイノベーションが期待されます。

2010年代、中国経済の成長を牽引してきたデジタル経済はBtoC型サービスが中心でしたが、今後は成長ペースが鈍化していくと考えられます。私は、中国のデジタル経済は中長期的には、BtoB型ビジネスが今後の成長の中心となっていくとみています。

【プロフィール】

西村友作(にしむらゆうさく)さん

対外経済貿易大学国際経済研究院教授、日本銀行北京事務所客員研究員

2002年より北京在住。

2010年に対外経済貿易大学で経済学博士を取得し、同大学で日本人初の専任講師として採用される。同副教授を経て、2018年より教授に。

専門分野は中国経済・金融。メディアでは主に中国のキャッシュレス、フィンテック、新経済(ニューエコノミー)などを解説。

主な著書は『キャッシュレス国家「中国新経済」の光と影』(文春新書、2019年4月)、『数字中国(デジタル・チャイナ)―コロナ後の「新経済」』(中公新書・ラクレ、2022年2月)。

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