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【CRIインタビュー年末特別企画】武漢で竹内亮監督に聞く「味付けしない中国の真実を伝えたい」

CRIPublished: 2020-12-18 23:37:00
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聞き手:星和明

「武漢には、今年中に必ずまた行きます」

この6月末、アップされるや否や、国内外で3000万回あまりの再生回数を記録した話題のドキュメンタリー「お久しぶりです、武漢」の竹内亮監督が作品の中で上記のように語っていました。

12月5日、竹内亮さんが「和之夢」制作陣を率いて、武漢市内のショッピングモールで作品鑑賞交流会を開き、武漢や湖北をはじめ、北京、上海、新疆などと全国各地から駆けつけた200人あまりのファンが参加しました。

再び訪れた武漢で竹内監督にお話を伺いました。

■武漢に戻る=「この町の面白さを友だちにシェアしたい」

――今回、武漢に来られての感想は?

ずっと楽しみにしてきたので、ようやく来られて嬉しいという感じですね。ただ、街に出たら皆マスクをしているし、タクシーに乗ったら、運ちゃんにマスクしてくれと言われたりします。やっぱりコロナに対する恐怖心が全然違うなと思います。

今回は先週も今週もずっと武漢。今年の武漢を総括する企画で、50人の街頭インタビューをしたんですよ。「今年、失ったものと得たものは何ですか」とインタビューしましたけど、やっぱりその中には、「感染して友達を失った」「家族が亡くなった」という方もいて、そういう意味で、全然違うと思います。

――6月の撮影時と比べて、印象が違うことはありますか。

あの時は、まだロックダウンが解除された直後で、やっぱりまだ緊張してたんですよ。街を歩く人は少なかったです。今はだいぶ増え、ほとんど正常に戻ったと思います。ただ、みんな気は緩んでいない。やはり第二波、第三波が来たらどうしようという恐れは全然違う。ロックダウンを経験したからこその感覚ですよね。

――武漢でのファンミーティング開催は、6月の撮影時に実現できる感覚はありましたか。

いや、ないですね。やっぱり武漢は特別な場所なんで、こんなたくさんの人が集まるイベントやっていいのか、というのはギリギリまで分かりませんでした。そういう意味でも、こういうふうに無事開けたというだけでも、だいぶ復活したんだなっていうことというか、象徴になるかなと思います。一応会場は500人ぐらい入るらしいんですけど、それを210人に絞って入場券を売りました。

――全国各地から集まってきたファンの方たちは、竹内監督にとって、どんな存在ですか?

僕の中で友達みたいな感覚ですかね。会ったことはないですけど、「網友(ネット友達)」!友達になんかシェアしてるみたいな感じなんですよ。

今回、武漢でやった最大の理由は、僕らのファン達っていうか、友達たちに「武漢って面白いから遊びに来いよ」と言っているような感じなんですよ。ここではミーティングに参加した後に、今日の夜でもいいから、武漢のグルメだったり、明日旅行するとか、そういうことをしてもらいたいと思っています。で、そこで見た物を更にシェアしてほしい。彼らがまた自分の友達に「武漢、面白かったよ」と言ってくれれば、どんどん武漢の良さが広がっていくんで。武漢の宣伝大使みたいになっていますけど、そういうことじゃなくて、単純に面白いから友達にシェアしたい、それだけです。

――ずばり、竹内監督にとって、武漢のどこが面白いと感じたのですか。

グルメですね。やっぱり圧倒的に武漢は「過早」と呼ばれる朝食の文化が、本当に豊富なんですよ。いろんな朝食を食べる店があって、全部美味しいんですよ。それから夜ですね。深夜にみんな集まって飯食ってるみたいな。それがすごく良い。その朝と夜の飯の文化が僕はすごい好きです。

■行く年=「調子に乗りそうなのを我慢した年」

――竹内さんは2020年、南京にフォーカスした「新規感染者ゼロの町」、武漢にフォーカスした「お久しぶりです、武漢」を始め、一連の話題作を立て続けに送り出しました。過ぎ去ろうとする2020年をどう総括しますか。

いや、あまりにも忙しすぎて、ゆっくり振り返る時間がないですね。ずっと全力疾走で駆け抜けている感じなんで。なんか月並みな返答ですけど。まあ、運が良かったというか、お陰さまで、今まで私たちのことを知っている人達って、日本の文化に興味がある一部の人でした。「私がここに住む理由」という番組を含めて、日本に興味がある人は知っていたんですけど、それ以外の人の間では、僕らの存在は聞いたことすらない。今回のこの武漢の作品もそうだし、いろんなコロナ関連の動画で我々の名前を知ってもらえたので、非常に充実した一年でした。

――自身に何か変わったことはありましたか。

正直、自分は変わっていない。周りがすごい変わっただけ。色んなイベントに呼ばれ、最高級ホテルに泊まり歩く、飛行機も全部ファーストクラスでした。そんな日々が続いていて、「やばい!」と、調子に乗りそうなのを一生懸命に抑えている、そんな一年でした。

でも、イベントに参加する以外は、ほぼずっと現場にいたので、寒い中も雨の中も。それは何も変わっていない、むしろ回数が増えました。撮影プロジェクトが去年の3倍ぐらいだったんで、そういう意味で、すごい疲れる一年でした。

――竹内さん自身が注目される部分が多くなった中、中国のことや日本のことを伝える上で何か変わった部分はありますか?

自分で特に意識してないですけど、それは確実ありますね。ある種の使命感じゃないですけど。昔は自分が好きなこと、興味あることを発信してよかったんですけど、今はやっぱり注目される分、そういうことも考えて題材を選びます。「こういうことを入れれば、もっと多くの日本人に中国のリアルな部分を知ってもらえるのかな」「日本で受けそうだな」「日本人の誤解を解けそうだな」とか。今までそういう視点がなかったんですよ。俺がやりたいことをやってるだけだったんですけど。使命感って言ったら、ちょっと偉そうですけど、より世論を考えるようになりましたね。中国と日本の世論を。

それから、ダブルスタンダードは絶対できないです。それは僕らの原則として。日本と中国とで、同じものを流すっていう決まりなんですよ。日本では中国の悪口を言って、中国では日本の悪口を言うというのは絶対にしない。そういう意味で題材選びは世論を考えつつ、両方に批判されない、だけど両方に受ける題材を考えることになります。それはかなりの変化ですね。ようやく大衆向けになりましたね。そのバランスをどう取るか、ですね。客観、中立に立つことがすごく難しい。

――これまでの一年、様々な現場で中国社会に踏み込んで取材してきた中、中国に対する理解が過去よりも深まった点や気づいたことは?

たくさんありますけど、やっぱりコロナが一番大きいと思いますね。日本も含め、アメリカ、欧州など、ほかの国がまだコントロールできていないけど、「中国はこんなに人がいるのによく押さえ込んでるな」と。やはり、その団結力と科学技術の力です。この14億の国を、よくぞ感染者を増やさずにやってるなという国民の力ですね。それはすごい、と本当に思いました。

中国人って、団結力がないと思ってたんで。サッカーとか弱いじゃないですか?水泳など、一人一人が強いんだけど、団体スポーツになると、すごく弱いイメージというか、皆団結しないイメージが勝手にあったんですけど、「違うな」と改めて中国人の団結力を感じました。

■来る年=「味付けしない」中国をありのままで伝えたい

――2021年の計画を聞かせてください。

いっぱいありますよ。もう来年は9月ぐらいまで決まっています。撮る内容題材については、今撮影中のものは「アフターコロナ時代」、今月中に放送する予定なんです。来月からファーウェイのドキュメンタリーの撮影を始めます。アメリカがファーウェイを名指しで批判して、米中関係の一番のネックというか、そのきっかけになった会社なので、僕はそのリアルな姿を撮りたいと思っています。それから、まだ企画段階ですが、来年は中国共産党創立百周年ですので、それにまつわるドキュメンタリーも考えています。

――これらの中国からの発信に対して、日本国内で一部にうがった見方が出ることに対して、どう受け止めていますか。

「こいつは中国政府の犬だ」とか、「中国の味方ばかりしやがって、中国政府のスパイだ」とか絶対言われると思いますよ。でも、僕はあくまで中立の立場で見るので、怖くないです。

思い込みをやめてほしいから、「僕が見た、ありのままの、真実の姿を伝えていく。ありのままの中国をありのままで届ける」ということは、意外と日本のメディアはやってない。いろんな味付けをして、自分たちの好みの味に変えてから放送する。僕らはそのまま味付けをしないで放送する。ただ、それだけなので。それが逆に特別なことになっているのは、悲しいんですけれども、それをし続けたいなと思ってるだけですね。

――最後に、武漢関連の作品、今後も撮り続けていきますか。

もちろんです。「お久しぶりです、武漢」はすでに過去の作品。世界各国でいまだ武漢に対して偏った見方をしています。武漢の本当の姿を今後も伝え続けていきたいです。

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