ここ最近、清の乾隆帝の后宮を題材とした時代劇『延禧攻略』が動画サイトの「愛奇芸」で公開されています。このドラマは、口コミで再生回数が急上昇し、今年下半期の国産ドラマのダークホースと呼ばれています。
実は、時代劇でよく出てくる人の呼び方は外国人に戸惑わせるだけではなく、中国人でもはっきり理解していない人もいる上、一部のドラマでは間違えて使っているものすらある状態です。そんなわけで、今回の番組では、時代劇でよく出てくる、そして使う際に間違えやすい人の呼称についてご紹介しましょう。
【朕】(zhèn)[代]朕(ちん).
時代劇、特に、皇帝ものには必ずでてくるのがこれ。これは皇帝が自称として用いる第一人称です。秦以前は地位を問わず、第一人称として使われていましたが、秦の始皇帝の時からは、皇帝の自称にしか使えなくなりました。日本語でも、天皇陛下の第一人称で使っています。今でも手軽に聞けるものには、昭和天皇の玉音放送があります。文面についてもネットで検索可能ですので、まだご覧になったことのない方は是非調べて見て下さいね。
さて、中国では、歴史的にも文学的にも受け継がれているせいもあり、また、こうしたドラマの「お陰」もあり、日常でも冗談で使われる第一人称になっています。商品などにも使われており、北京にある故宮博物院のグッズには、清の時代の雍正帝の題字を引用して「朕就是这样的汉子(朕は斯様な丈夫である)」と書かれたものすらあります。また、「此人朕看不透(朕はこの者が理解できない)」と刺繍されたアイマスクもあります。ちょっと買って見たくなりますね。
そして、この「朕」のほかに、時代劇に出てくる皇帝や国王は、「孤(gū)」或いは「寡人(guǎrén)」と自称することもあります。「孤」は幼少時に親が亡くなった人を指す言葉でしたが、後に葬儀を経験した諸侯の自称になった呼称です。「寡人」は秦以前の諸侯の謙遜した第一人称で、秦の始皇帝も即位後はしばらくの間、自らのことを「寡人」と称していたようです。これが、後に「朕」に変化したわけです。なお、「寡人」は漢代以降はあまり使割れた形跡がありませんが、「孤」の方は、魏や晋の時代に、王や公爵などが良く使っていたようです。
【哀家】(āijiā)[代](哀れな)わらわ.
哀れな人と書いて、その意味は夫がいない哀れな人。この「哀家」で自称する人は夫に死なれた皇后や皇太后だけなのです。ですが、実はこの「哀家」は歴史上、現実には使われた言葉ではなく、後代の戯曲や小説のみで使われているものです。
なので、旦那の死んでないというか、身内すら死んでない小学生が使っていたことを聞いたことがあります。これは笑いものですね。
【臣妾】(chénqiè)[代]私奴(わたくしめ).
皇帝に使える女性が自らを呼ぶ際の謙称です。日本語の「私奴」の語感と似た響きを持ちます。