中国は、伝統的な農業国です。厳しい気候の影響もあり、豊作祈願は重要な行事となっています。中国には古くから、「民は食をもって天をなす」という言い方があります。そのため、天壇の中心的な建物を「祈年殿」と名づけたのです。「年」とは「稔」(実る)のことであり、豊年・豊作の意味です。
祈年殿は、金色の玉を持ち、軒先に連なる屋根は瑠璃瓦に覆われています。高さは、九丈九尺(31.68メートル)です。それは「天が丸い」を意味するだけでなく、「9」を最高とする「天数」のきわみを意味するのです。
圜丘壇の円形の壇も、九重からなる石板が敷かれます。中央から扇状に広がる石板の数も「9」の倍数。それも「天に九重の城がある」という言い伝えによるものです。
先ほどご紹介した丹陛橋は、全長360メートル。南が低く、北が高い。天庭(天の皇帝の宮廷)までの道が遠いので、一歩一歩登っていくことを示しています。また、東門の手前には、「七星石」と呼ばれる7つの石が配されています。これは、天体の現象を表しています。
天壇の建築は、古代中国人の豊かなイマジネーションと創造力を表しています。建築と芸術、当時の学問の成果を調和させ、人類の知恵を示したものです。
天壇は市の南東部に位置し、古い北京の面影を残した公園です。早朝ともなると、体を鍛える市民で賑わっています。その中では、園内にある6万本の木々だけが、にぎやかだった祭天当時の様子を思い起こしているのかもしれません。
皆さん、北京を訪れたら、紫禁城や万里の長城などを見学した後、世界遺産の天壇公園にも足を伸ばしてくださいね。
2時間目のタイトル:天壇公園近くの観光地と北京のジャージャー麺
二時間目は、天壇公園のアクセス方法、入場料などの関連情報をご紹介します。その後、天壇公園近くの有名なショッピングセンター・紅橋市場(ここは、中国各地の真珠が販売されていることで有名だ)をご紹介します。さらに、北京の代表な庶民料理・ジャージャー麺(その作り方や食べ方など)をご紹介します。ぜひお聞きください。(任春生)